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大きいレモン

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 でっかいレモンをひとつ収穫した。昨年は木に鈴なりだったレモンだが、秋の台風のせいもあってか、今年はわずか数個しか採れなかった。ところがそのうちの一個がめちゃでかい。ふつうサイズの三倍はある。色づき始めてから樹上でもひときわ目立っていた。さてこのデカレモンをどうしたものか。レモンといえば梶井基次郎の短編「檸檬」であろう。高校時代の読書で強く印象に残る一編である。作中の丸善は京都の楽団にいたころによくのぞいた。「檸檬」の主人公が、爆弾に見立てたレモンを本の上に置いて去った書店である。その店が閉店を予告したところ、主人公よろしく本にレモンを置いて立ち去る人が絶えなかったそうだ。近年その店が河原町に復活しているという。おまけに店ではレモンを置きたい人のために、わざわざレモン置き場を設けているそうだ。今も主人公を真似たい若者たちがいるほど、小説「檸檬」は人気があるのだろうか。それを確かめに、自家産のデカレモンを携えて京都丸善を訪ねたい気もするが、いかんせんOpaは年をとりすぎた。それにOpaの憧憬と追憶のすべては昭和の京都にある。平成の終わる日に、しみじみと昭和がなつかしい。

by mizzo301 | 2019-04-30 13:55 | エッセイ | Comments(0)

春うらら

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 春うらら、ちいさな庭が花たちでにわかに賑わいだした。数年ぶりに株分けをして、早く芽をだせアマリリスと念じ続けた五鉢が、そろって芽をだした。まずはひと安心。早くもスズランが可憐な花を見せる。それがなにかの合図でもあるかのように、ユスラウメ、小手毬、やまぶき、ツツジ、モッコウバラまでが競うように咲き出した。Opaの庭に春があふれそう。思い出す歌がある。「ラララ赤い花束くるまにつんで 春がきたきた丘から町へ すみれ買いましょあの花売りの かわい瞳に春のゆめ」だれに習ったおぼえもない。戦前のラジオで流された国民歌謡である。いつどこで聞きおぼえたか、こどものころから好きだった。おそらく戦後もラジオで流れていたのを聴いていたのかもしれない。花であふれる季節になると、いつもこの歌をふと思い出してしてしまう。春に新学期を迎える日本は、進学、就職、退職など人生の一大事が春にやってくる。Opaの場合は結婚もある春の日のできごとであった。ときをへて、ものいわぬ連れあいのなきがらに、好きだったモッコウバラのひと枝をおいたのも、八年前の春のことであった。

by mizzo301 | 2019-04-21 14:40 | エッセイ | Comments(4)

平成改元前夜のこと

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  間もなく令和の御代となる。元号は世界でも日本のみの制度ということもあってか、その発表はやはり人々の大きな関心事であった。日頃は西暦だけで十分などというていたOpaでさえ、実はちょっとわくわくしてテレビの前でその時を待った。令和、出典は万葉集だという。発表後も他にどんな候補があったのかとか、令和はだれの発案かなどと新聞、テレビがいまだに喧しい。大阪では名前に令和の文字を持つ人がたこ焼き食べ放題に招待されるなど、天皇の退位による改元はまことに平和で安心、おめでたいかぎりではある。平成の改元はちがった。昭和天皇崩御が伝えられると、日本中にたちまち暗黙の喪に服するような沈んだ雰囲気がただよった。その間、連れあいはお弟子さんたちのピアノの発表会を予定していたのだが、悩んだ末に急遽中止を決めた。これまた歌舞音曲は慎むという暗黙の雰囲気があって、敢えて開催するには勇気がいったのである。借りた会館の近くで買ったお弁当をホールで食べて、だれもピアノに向かうこともなく、仕方なくすごすごと退散したのだった。平成幕開け前夜のさびしい思い出である。

by mizzo301 | 2019-04-14 18:24 | エッセイ | Comments(0)

桜の道は登校路

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 海へとつづく桜並木が満開である。今朝ピンクの花びらが風に舞うその道を、小さな肩に大きなランドセルを背負い、お母さんと手をつないで行く少女に会った。おそらく新一年生だろう。ならば昨日が入学式、今日は初登校のはずである。若いお母さんの背にはもう一人幼子が、片方の手には大きなごみ袋がある。今日は生ごみの収集日、登校するわが子を送るついでにゴミをだそうということらしい。Opaはドンのリードを短く持ってその場にしばし立ち止まり、二人の姿を追った。すぐ近くの集積場でゴミ袋をおいたお母さんは、立ったまま少女を抱きしめる。しばらく何事かを語りかけ、やがて両手をほどいて少女の小さな肩を前方にむけてそっと押した。後ろ姿を見送るお母さんの方を、少女は一度もふり返らずに歩いていく。数十メートル先の角に、登下校時の見守りボランティア、黄色いベストと帽子をかぶったおじさんが見える。やがて少女が近づくと、おじさんはうしろで心配げに見守るお母さんに気づいて大きく手を振った。それは心配しなくても大丈夫ですよの合図に見えた。お母さんはていねいにお辞儀を返して、花の下道をようやく家路につくのだった。

by mizzo301 | 2019-04-09 18:29 | エッセイ | Comments(4)