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EXPO '70

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 70年万博の未使用チケットが一枚ある。先日、さがし物で今は使わなくなった古い机の抽斗をあさっていて発見した。なぜそこにあるのか、そのいきさつにはまるで覚えがない。大阪に '25万博の開催が決まったので、あたいの出番が来たと勘違いして顔をだしたのだろうか。抽斗の底にへばりついておよそ半世紀を耐えぬいた骨董品である。会期は昭和45年年3月15日~9月13日、入場料は800円だったんだ。当時、Opaに次女が生まれたばかりのころであった。4歳の長女とふたりではるばると万博見物に出かけたことがあった。暑い夏の日であった。会場は見物客でごった返している。どのパビリオンも入場を待つ長蛇の列である。幼い娘はそんな物に興味はない。その日は娘のための万博である。Opaもはじめからパビリオン入場はあきらめている。太陽の塔の偉容を見ながら、上機嫌の娘の手をひいてさまざまな遊具がはなやかに回転する遊園地へ向かう。もちろんそこも人であふれている。おまけにどの遊具も順番待ちの長い列である。ようやく幼児でも乗れる乗り物を見つけて、長い列の後ろにつく。二時間待ちの順番を大変だと思ったが、娘は待つという。前後はやはり幼い子供連れが大勢ならんでいる。待つ間に前後の人にお願いして列をぬけ、二回オシッコに連れていく。ようやく順番がきて、そう高くはない塔の上で二人乗りの小さな乗り物に乗る。するとそれは塔の周りを螺旋状に滑降して、あっという間に降車場に到着、二時間ならんでたった二分のイベントであった。その虚無感を、それでも満足げな娘の様子に癒されたのを思い出す。その外に何をして何を食べたのか、今では何もおぼえていない。親子ふたりが万博の雑踏で数時間をすごし、黄昏れを待たずに家路についた、半世紀前のまぼろしのような思い出である。

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by mizzo301 | 2018-11-28 17:10 | エッセイ | Comments(1)

晩秋のよく晴れた日曜日

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 晩秋のよく晴れた日曜日に、かつての教え子たちの同窓会に招かれた。トリマーさんにドンの預かりをお願いして、いそいそと出かけた。電車に乗るのも久しぶり、ルンルン。スマホの地図をたよりに、本町に近い小さなイタリアレストランに向かう。あったあった、人通りもまばらな休日のビジネス街にあって、その店からだけなにやら華やいだ空気がもれてくる。Opaを呼んでくれた教え子たちの、楽しい午餐会である。しゃれた小料理とワインをたしなみ、旧交を温めて近況を語り合いときに笑いさんざめく。Opaも自然に交歓の輪に取り込まれ、心温まる時をすごさせてもらった。愛すべき淑女たちよ、いつまでも幸せでいてね。Opaはあなたたちの人生の安穏を願ってやみません。みんなと別れて御堂筋に向かう。夕まぐれ、大通りはイルミネーションに彩られてとってもきれい。おおシャンゼリゼ~にも負けてまへん。70年まえのこのあたりは空襲をうけて一面の焼け野原だった。そんな無惨な御堂筋で、父に連れられてよしずに囲まれた屋根のない店に入って、どんぶりの汁を立ち飲みしたのを思い出す。

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by mizzo301 | 2018-11-19 23:14 | エッセイ | Comments(0)

旅の蝶

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 10月のさる日、妹からアサギマダラの写真が送られてきた。庭のフジバカマの周りで10匹ほどが乱舞しているという。数千キロの長い旅をするわたりの蝶である。途中はるか上空から、毎年妹の庭のフジバカマを見つけて数日間とどまり、その蜜でスタミナを養い、いずこかへ旅立つようだ。果たして今年の旅先は台湾か香港かさらに遠い異国であるのか。妹は写真に夢中で、それを彼らに訊きそびれたという。一昨年にはたまたまOpaもその場にいあわせて、アサギマダラの優美な舞いを見ることができた。彼らは他の蝶とちがい、人が近づいても逃げない。ひたすらフジバカマをとりまいて飛び交うのである。ところで蝶の正しい数えかたは、一頭二頭だとヤフー知恵袋で知った。意外である。ダンボのような子象たちが、大きな耳をひらひらさせて宙を飛びまわるのを想像してしまうではないか。

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by mizzo301 | 2018-11-06 17:59 | エッセイ | Comments(0)

ドンちゃん雲になる

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 毎朝6時すぎにふと眼がさめる。もうひと眠りしたい気分で眼をとじる。すると必ずドンが胸の上に乗っかって顔をなめまわす。決して二度寝をさせてくれない。散歩の催促である。Opaの一番つらい時間である。顔を洗い、腰痛対策の簡単なストレッチをして散歩に出る。軽い冷気をはらんだ秋風が心地よい。ようやく眼がさめる。晴れわたった空に雲が浮かんでいる。そのひとつがどう見てもなにかの動物に見える。アヒルのようでもあり、うずくまったドンが空中に浮かんでいるようでもある。「ノンちゃん雲にのる」をふと思い出す。70年のむかし、Opaは虚弱で学校をよく休む学童であった。教室に古びた本箱があって、中にある数冊の本の一巻がそれであった。病弱で運動を禁じられていたOpaには、うれしい本箱であった。体育の時間などは夢中で本を読んだ。月に一冊新しい本が増えるのが待ち遠しかった。Opaの読書好きはそれ以来のことである。その文庫、他のクラスにはなかった。我らが学級文庫、実は担任の先生のポケットマネーでまかなわれていたのだった。


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by mizzo301 | 2018-11-03 18:19 | エッセイ | Comments(0)