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<   2017年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧

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 ドンのお気に入りは小さなタコのぬいぐるみである。ドンを買ったときに同じペットショップで手に入れた。あれから九年の歳月、タコにとっては思いもよらぬ苦難の連続である。日がな子犬の唾液にまみれ、するどい歯にかみつかれて振り回される。ときにはOpaに洗濯機にほうりこまれ、回転する洗濯槽にへばりついて失神する。災難はドンが子犬のあいだだけではすまなかった。タコという単語をしっかりと記憶したドンは、成長と共にますますタコに愛着を深め、この好かんタコとばかりに、くわえてころげ回り放り投げる。ついにある日、Opaの知らぬ間にその顔面を食い破り、中綿をすべてひきずりだしてしまった。はらわたを抜かれ、床にぺたんと張り付いたタコを見たときはOpaも驚いた。それでも、タコをもっておいでと命じると、その赤いぼろ布をくわえてOpaに差しだす。ドンのタコ愛は本物だと思った。その記憶は大切にしてやりたい。だがそのタコは、今や赤いぼろの切れ端である。ペットショップやおもちゃ売り場、百円ショップなどをこまめにのぞいたがそう都合よく同じものは見つからない。漁港の市場で本物の蛸は簡単に手にはいるが、ゆで蛸をまさか家にころがしておく訳にもいかない。手段はひとつ、補修である。百均の手芸品売り場で中綿を買う。それを抜け殻にしっかりとつめる。連れあいの残した針箱をとりだし、タコの顔面を縫合する。施術の結果、左目は失明のままに、フランケンシュタインのように蘇生した。苦労をかけるが、これからもドンをよろしく。なにも知らずに昼寝をしているドンのおもちゃ箱に、そっと竹馬のタコをおいた。
by mizzo301 | 2017-05-31 18:27 | エッセイ | Comments(0)

初夏の庭仕事

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 庭のアマリリスたちが開化にそなえて花茎をのばす。その一方で、11月に植えた花たちがいよいよ役目をおえる。ひときわよく咲いたデイジーやガーデンシクラメンはすっかり花を枯らした。入梅までに植え替えをしておきたい。シクラメンは来年に期待してひとつのプランターにまとめうつす。ついこの間まで日当たりのよいガラス戸の内側でちやほやされていたシクラメンも、同じところに置かれて呆然としている。あとは名残惜しげなパンジー、いまだ無邪気に笑っているビオラなどを引きむしるように抜く。公園で終焉を迎えているビオラたちを、みんなで最期までいたわりましょうという、さる人のブログ記事を拝読したあとである。残酷だなあとじじいの心も少しはうずく。でも卒業してもらわないと新入生が入れない理屈である。鉢やプランターの土をOpa我流にあたらしくして、すでに近所のホームセンターで買っておいた、マリーゴールドやサルビア、ペチュニアやたちの苗を植える。人の都合のよいように花を楽しむなんて、いきなり引っこ抜かれる植物たちにはハナハナ迷惑にちがいない。近所のYさんなどは、ゼラニュームやベゴニアなど多年草を庭いっぱいに咲かせて、植えかえの手間をはぶいて楽しんでおられる。そんな手もあったんだ。とにかく後は梅雨入りを待つばかりである。
by mizzo301 | 2017-05-28 23:50 | エッセイ | Comments(0)

清掃美化の日

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 左の肩が痛くてヴァイオリンをかまえることができない。八十肩か、 それをいいことに練習はご無沙汰である。両目がしょぼしょぼして、目やにがたまる。朝一番に鼻をかむと、びっくりするほどでかい鼻くそが飛び出す。きたない老人になってしまった。前の日曜は、市内一斉清掃美化の日であった。市民総出など大都市にはありえない、地方の小さな市町ならではの行事である。あさ9時、目をしょぼつかせ、つらい足腰をはげまし、竹箒にすがっておもてへ出た。すでに近所のみなさんが軍手にゴム長姿で、側溝のヘドロをかきあげ、熱心に空き地の雑草を刈りとっている。Opaも自分ちの前の側溝のふたを持ち上げたがあがらない。隣家の旦那がとんできて、わたしがやります、Opaさんは休んでいなさいという。いやいやそんなわけには、などと口先だけいうておく。ずるい老人である。そこいら中やたら竹箒をつかうふりをしている間に、かきあげられたヘドロは土嚢になり、雑草はビニールの大袋につめられている。そこへ近所の元気なお兄さんの台車が来て、それらを集積場へ運んでくれた。近所が和気あいあいの共同作業は親睦にもつながる。男性たちは道具類をもって早々に引きあげる。女性たちはそのまま道ばたにたむろして、おしゃべりを楽しんでいる。Opaさんもずいぶんよぼよぼになりましたねオホホ、なんていうているのだ。かくもうるわしき隣人愛のおかげで、KZ老人(きたない・ずるい)の清掃美化の日は無事に終了したのだった。
by mizzo301 | 2017-05-24 16:46 | エッセイ | Comments(1)

わが友テレビ

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 三月には給湯器が突然こわれて、リビングの床暖房、浴室の暖房、乾燥器がストップ、肝心の浴槽に湯が出ない。春先に寒い思いをした。13年もお使いですから、寿命ですねと業者がいう。仕方なく大枚をはたいた矢先に、今度はテレビがくたばった。2007年に買って10年になる。これも寿命か。ひとり暮らしのOpaには、ドンとテレビが話し相手である。ドンにはOpaが話しかける。Opaにはテレビが語りかける。どちらも一方通行の日本語会話である。テレビがいないと友をひとり欠いたようでさびしい。すっかりテレビっ子である。さっそく家電量販店に出かけた。なにっ、4Kテレビってなんだ。キツイ、キタナイ、キケンにもう一つKってなんだ。そんなテレビほしくないなあと思ったが、いまはこれが主流ですと店員がいう。解説を聞いたがよくわからん。Opaあほですねん。ただ、劣悪な労働環境の3Kとは無縁であるらしい。翌日納入、ドンとテレビ、話し相手と話され相手がそろった。今宵も焼酎の湯割りがうまい。
by mizzo301 | 2017-05-04 22:46 | エッセイ | Comments(2)