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暗い日曜日

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 ひがな雨の降り止まぬ日曜日であった。その雨をついてドンとOpaは揃いの雨合羽て家を出る。ひたすらドンの排泄のためである。こんな日にはせめて家の敷地内ですませてほしいが、しつけをあやまった。雨にもまけず風にもまけず、とにかく歩かぬことには出てやらん、とウンチがいうらしい。好天ならただのお散歩が、しのつく雨のなか、うんち回収に痛む腰でしゃがまんならん。苦痛である。もくてきを達して帰ってからもたいへん。雨滴したたるふたりの合羽を軒下にぶらさげ、バスタオルでまず丹念にドンをふく、その70パーセントはしめったタオルでOpaの顔をふく。その後合羽の下に着せたドンのTシャツを洗濯する。それを朝夕の二度である。昨日は実にめんどうで憂鬱な暗い日曜日であった。暗い日曜日といえばダミアが歌ったシャンソンを思い出す。もとはハンガリーの流行歌で、恋人を亡くした女が、悲しみのあまりに自分も自殺をしますと歌っているのだそうだ。曲のヒットに触発されて、ハンガリーをはじめヨーロッパで自殺者が続出したという。そのため各国では「暗い日曜日」をラジオ放送禁止にしたといわれている。おそろしや暗い日曜日、雨の日のドンのウンチどころではないらしい。
by mizzo301 | 2016-11-28 23:47 | エッセイ | Comments(0)

お魚いかが

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 紀州の漁場が近いこともあって、スーパーの鮮魚売り場は魚種が豊富でたのしい。当地で定番のシタビラメ、アジ、サバなどいっしょに、60センチを超える真鯛や、石鯛、イシガキダイなどもめずらしくない。時には刺身が5百人分はとれそうな巨大なそで烏賊や、体長が1mはありそうなマンボウ、大きな鱶が台に横たわっている朝もある。来訪した友人などを案内すると、都会のスーパーや百貨店の鮮魚部ではお目にかかれない光景に、みんなびっくりしはります。さて、今日の目玉は海ではちょっと危険なうつぼとやがらであった。どちらも1mはありそうだ。とくにウツボは派手好みで毒々しい。むかし高知でウツボのたたきを食ったことがあるが、自分で調理してまで食べたいとは思わない。やがらは刺身で美味とは聞くが、気の毒だがそのルックスが食欲をそそらない。この店は買えば調理できるよう捌いてくれるからその点は安心である。この大きさでどちらもたったの千二百八十円、だがこれら珍種をだれかが買うのを、Opaはまだ見たことがない。おくさん、今夜のおかずにおひとついかがですか。
by mizzo301 | 2016-11-15 16:36 | エッセイ | Comments(2)

鬼ゆず

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 ここは大阪でも、海岸と山地がもっとも近い斜面に開かれた住宅地である。温暖な気候に恵まれ、柑橘類がよくなる。朝夕散歩の道すがら、あちらこちらの晩秋の庭に、みかんや橙、レモン、柚子などがたわわに実っている。いつもは少ないOpaのレモンも、今年はどうした気まぐれか、グリーンの実をたくさんつけて、得意げに風にゆられている。せっかくのレモンなのに、当地ではもらい手もなく、毎年Opaは無駄にすててしまう。なにかいい手だてはないものか。そこへご近所のWさんの奥様が、お風呂にどうぞと柚子をひとつ届けてくださった。それがでかい。人の顔ほどもありそうな柚子である。鬼柚子というそうだ。さっそく湯船に浮かべて入浴、かすかな柚子の香り。まぢかに見るとでこぼこのすごい面がまえ、その名のとおり鬼である。湯船の端へ押しやる。鬼と混浴かあ~、うつらうつら。鼻先に柔らかい感触を感じてふっと目が覚める。いつの間にかゆらゆらと近づいた鬼が、湯で寝入りそうなOpaを軽い頭突きでおこしてくれたらしい。鬼柚子は顔に似合わずやさしかった。
by mizzo301 | 2016-11-09 18:20 | エッセイ | Comments(0)

九度山へ

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  秋麗の一日、ご近所で紀州の人Nさんに同道を願って、ドンを供に九度山をたずねた。道中、根来寺を過ぎると大きくうねる斜面にみかん畑、柿畑がつらなり、山裾の集落をいくつもみながら紀州の風景を行く。 高野山中を流れくだる清流、丹生川が紀ノ川とまじわる位置に九度山の里はある。川向こうに高野口の町、その向こうは雲ひとつない青空を背景に紀泉の山々がつらなる。訪れたのは慈尊院、空海の母堂が庵を結んだいわれの寺院である。境内に御大師さんと並んで、案内犬ゴンの像がある。はてなと思っていると、ご住職らしき僧侶が近づかれて話しかけてくださった。ゴンは平成の初め頃に寺院をねぐらにした白い野良犬であった。その犬が高野山まで多くの人々を案内しているのを知ったのは、お寺にかかるお礼の電話や礼状が届くのを不思議に思ったからだそうである。そういえば昼間は山内に姿はない。高野山頂までは空海も歩いた20余キロの山道、参詣者を先導して連日往復していたらしい。分岐点ではふり返って人を待ち、大門をくぐるのを見届けるとくるりときびすを返して日暮れのせまる森へ消えていく。帰路は獣道を一目散に駆け下りたのだろうか、早朝には慈尊院の軒端で疲れ汚れた身体を横たえている。身体についたダニを毎朝とってやりました。梵鐘によく耳をかたむけるところから、ゴンと名付けてお寺の犬にいたしました。毎日往復40キロの道のりでさすがにゴンの疲れが目立ち、見かねて4年ほどでガイドを引退させました。それから十年の余生をこの寺で安穏に過ごし往生いたしました。法要にはそれは大勢の方のお参りをいただきましてなあ、と遠い眼をなさるご住職。さてドンちゃんの名の由来はなんですかいな。Opaとっさに応えられず、これは三代目のドンでありまして、代々世襲の名でありましてムニャムニャ・・。そうかそうかよい子じゃ、ドンちゃんは長生きしなされやと、ご住職はおおきな手でドンのあたまを撫でてくださったのだった。
by mizzo301 | 2016-11-04 17:21 | エッセイ | Comments(0)