カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30

<   2015年 11月 ( 3 )   > この月の画像一覧

胃カメラ異聞

d0087054_22405540.jpg

  ピロリ菌の有無をみて除菌しましょう、とお医者にいわれ胃カメラを呑んだ。先週のことである。オエーッ、オエオエーッ、目の前にモニター、自分の胃に容赦なくカメラのパイプが入っていく。赤くただれたでこぼこの胃である。荒れた胃であるのは素人目にもわかる。がんがあってはいけません。念のため組織をとりましょう。するするとワイヤが送りこまれ、先端の爪みたいなのがあやしい胃壁をつまみとる。それを三カ所、みるみる胃壁は血にそまる。いやな光景に目をそむけることもできない。苦しさに鼻汁やなみだ、よだれなど顔面大洪水。ま、とにかく工事完了。結果待ちの一週間、ピロリ菌よりがんではないかとそればかりが気にかかる。さて結果発表、Opaさんにがんの心配はありません。オオーッ。ただしピロリ菌はご健在です。まそれは仕方ない。さっそく除菌の処方箋、一週間この薬を飲み続けてください。ところで先生、お酒はいけませんか。いや、それは大丈夫です。やったぜ。その足で門前薬局へよる。薬剤師さんが薬をだしながら、訊きもしないのにいう。一週間お酒はいけません。話しがちがうがな。Opaは迷った。ここはやはりお医者の言葉を守らねばなるまい。てなわけで、夕食は焼酎でひとり祝杯をあげたのだった。はたしてピロリ菌の運命やいかに。
[PR]
by mizzo301 | 2015-11-30 22:44 | エッセイ | Comments(2)
d0087054_15521636.jpg

 ドンを車にのせて紅葉狩りに出た。目指すは根来寺、風吹峠ごえの家からおよそ半時間の旅路である。箕面の紅葉だよりを見て、さては紀泉でもと思い立ったのだ。ところが着いてみると、山内は一面みずみずしい緑でおおわれている。参拝受付のおばさんが、ちょっとお越しが早うおましたなとおっしゃる。今年は季節にしてはあたたかい。月末から12月はじめが紅葉の見頃ではないかということだ。仕方なく峠の道の駅、根来さくらの里で仏壇の花と、自分へのおそなえに団子を買ってかえった。そしてわが裏庭のかえでが未だ綠の葉をたたえているのに気づいたのだった。行く前に気づいておれば無駄足を踏むこともなかったのに、間抜けなことである。この季節、林間に酒を暖めて紅葉を焼く、むかし習ったこの一節をおもいだす。高校生のOpaいたく風流を感じて、いつかこれを実行してやろうと心に強く思った。あれから酒を暖めたり冷やしたり、気がつけば六十年も熱心にくり返したが、いまだに紅葉のたき火で酒を暖める機会はない。今夜も焼酎をチンで暖めて呑んでいる。初志貫徹未だし、白居易先生にはまことに面目がたたない。
[PR]
by mizzo301 | 2015-11-14 16:00 | エッセイ | Comments(2)

ちいさな巣

d0087054_2344351.jpg

 いまは物置になっている妹宅の一室が、むかしはOpaの部屋であった。最近Opaが泊まったりするものだから、妹ががらくたを部屋のすみへ押しやり、快適なベッドをしつらえてくれた。部屋に懐かしいものはなにもないが、てのひらほどもある黒い蜘蛛が天井に近い壁にはりついているのは昔とかわらない。まさかそこで50年も生きながらえたんじゃあるまいな。とにかく蜘蛛の多い家で、夕方など庭をうっかり歩こうものなら、大きな女郎蜘蛛の巣が顔にはりついたりする。妹がひとり庭仕事にせいを出しても、とても手入れが追いつかない。花壇の花たちはきれいだが、庭の一郭など手のほどこしようもなく雑木が生い茂る。あけびもあって里山の風情といえば聞こえはいいが、蜘蛛が苦手のOpa、たずねる度に蜘蛛の巣の多さに閉口してしまう。そんなある日、蜘蛛の巣ばかりじゃないわと妹がいいいながら、なにやらちいさな空き巣をお茶の席につまんできた。玄関わきの竹藪にあったという。おそらく庭のシュロをほぐしたのであろう繊維で見事に編み込まれている。釣りのテグスも二三本見える。形は鳥の巣であるが、直径わずか6センチと小さい。こんな小住宅で抱卵、孵化、子育てを終えることができたのはいったいどんな小鳥だろう。ひなたちはどうしたろう。おもえば50年むかしのOpaは、こんなちいさな住居も手にはいらず、結婚を前に困り果てていたのだった。
[PR]
by mizzo301 | 2015-11-05 23:08 | エッセイ | Comments(1)