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落ち着かない朝食

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 針に通うたび、六甲アイランドのホテルに何度も泊まる。朝食は18階の展望レストランで港の見えるバイキング。中国や韓国の団体さんでにぎわうこともあるが、その朝は数人の先客だけという静けさである。見晴らしの良い窓際の広いテーブルを遠慮なく独り占めにする。部屋のキーと杖をテーブルに残し、食べ物をとりに立つ。和食洋食とメニューは豊富である。何度も往復したくないので、生野菜、ハム二枚、ベーコン二枚、ポテト少々、目玉焼きひとつにクロワッサンをワンプレートに盛る。さらにオレンジジュースとミルクのグラス、ホットコーヒーまでプレートにのせる。なにが何でも一回ですませたい。重いプレートを、杖のささえなしによたよたとテーブルに向かう。そこを三、四才の男の子がうろつき出した。カナブンのようにOpaの腰のまわりをかすめる。ぶつかりはしないかとはらはらする。万が一その子の頭にコーヒー、ミルク、ジュースのミックスドリンクをかぶせたら大事である。お父さんお母さん見てないの、しっしっ、あっちへ行って。ようやく我がテーブルに着席、ほっと一息をつく。そこへご婦人のふたり連れ、Opaのすぐ前のテーブルへぽいっとバッグを置いて、ここが景色ようてよろしなあ。お連れも椅子にバッグを残し、そろって食べ物のある台に行ってしまった。おしゃれな洋服、やわらかい物腰、関西弁。ちらり拝察するに、お顔のしわのより具合からいずれも古希前後とお見受けした。なかよしふたりの小旅行かな。それはいいけど、おふたり食べ物を求める小旅行からなかなか戻らない。テーブルにひとりぽつねんとハンドバッグが窓の景色を眺めている。いいのかな。Opa妙に落ち着かない朝食であった。
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by mizzo301 | 2015-06-28 17:56 | エッセイ | Comments(2)

ドンに逢いたい

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 夕方の短い散歩で近所のプードル、チョコちゃんピーちゃん風ちゃん雷ちゃんモコカちゃんによく出会う。飼い主さんたちも杖でひとり歩くOpaの事情をすでにご存じで、ドンちゃんはどうしてますかとたずねられる。実はOpaも一番それを知りたい。1月に妹に預けて以来、めったに逢うことがない。一昨日の夕方、鍼治療で泊まるホテル近くの公園を散歩する薄茶のプードルを見かけて、ああ、ドンに逢いたいと思った。ひとたび思えば老人は我慢ができない。翌朝の鍼治療をおえると、すぐさま車を妹宅へ走らせた。六甲から高速を乗り継いで、名神豊中から空港線に入ればドンはすでに近い。車からの電話で、妹とドンが表に出迎えてくれるという。年甲斐もなく気持ちがはやる。そして間もなく、Opaの車を認めて短い尾をちぎれんばかりに振るドンが見える。車をおりてその場にしゃがむOpaに夢中でよじ登り、首肩をかき抱くようにして顔中を舐め回してやまない。路傍で交わす熱き抱擁、ようやく逢えたとしみじみ思う。それからお茶になり、またしばしの別れを思って思いきりドンを抱きなでさする。明日も鍼治療である。日暮れまでに六甲の宿へ帰っておきたい。ドンは妹をその家での庇護者と思ってよくなついている。安心して預けるのだが、別れはいつも後ろ髪をひかれる。髪の毛はないのに不思議である。
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by mizzo301 | 2015-06-19 23:39 | エッセイ | Comments(4)

LPを聴く

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 およそ800枚のLPレコードが書架にある。それらを聴かなくなって久しい。安直に再生できるCDに、Opaも知らぬ間に感染していたのだ。自分の耳の、いや眼の黒いうちにもう一度LPを聴いておきたいと、ある朝これらを見てふと思った。今やデジタルオーディオ、ハイレゾとやらの時代である。ハーマンカードンのアンプ、KEFのスピーカー、ソニーのドライブにデンオンのカートリッジDL103など、かつてOpa自慢のオーディオ機器も、ただの古道具になり果てたのだろうか。そう思えば懐旧の念が余計にいやます。早速プレーヤーのほこりをはたいたが、果たせるかな動かない。30数年前の機種である。修理の手だてもない。ますますLPを聴きたいと耳が催促がましい。急遽ヤフオクで同型の完動品を落札する。腰へのダメージを気にかけながら、届いたドライブ約8キロを持ち上げてアンプにつなぐ。共振防止のため、昔のオーディオ機器はみんな重いのである。カートリッジのゼロバランスをとって針圧2グラムに設定、準備完了、あとは音を出すだけ、後期高齢者わくわく。手近な一枚をひき抜いてドライブにセット、ボリュームを0にしぼって針をおろす。針と盤面のかすかな擦過音をたよりにボリュームをひねる。おおっ、お懐かしやまさにレコードの音、ストラビンスキーのペトルーシュカ、管弦楽がきらきらと部屋にひろがる。この魅力、Opaにはうまく説明できないが、耳に聞こえない高周波をCDではカットされている。レコードで再生される聞こえないはずの高周波に、音の良し悪しでは語れない何かを、人は聴いているのだろうか。こうなるとあれもこれも聴いてみたい。だが手持ちは800枚、下手をすると余生の時間切れもある。あせるではないか。
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by mizzo301 | 2015-06-12 19:26 | エッセイ | Comments(0)

めばるを煮る

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 岬の先端の食堂を食べ歩くという番組を見た。そこで旅人が、甘鯛の煮付けをうまそうに食べている。箸の先で魚の身をふわりとすくいとれるほど、やわらかく煮てあるらしい。Opaもそれを食いたいぜよ。足腰の痛みも食欲には勝てない。翌日、ステッキなドンにすがりながらスーパーへ車を駆る。そこに甘鯛はなかったが、めばるの目が光っている。うまい魚である。赤と黒が並んでいてまよったが、なんとなく赤めばるがうまそうに思えて、20センチほどの一尾を買う。適当にやわらかめの煮付けにするつもりでいたが、ほんの気まぐれにクックパッドを開いた。あるわあるわめばるの煮付け、たかが魚を煮るのにレシピぞくぞく。中で目にとまったのが明石漁業協同組合のそれである。まずたっぷりの酒と生姜で鍋にふたをしてさっと蒸す。それに醤油、みりん、砂糖などお好みで煮るというのである。はじめに蒸すという点にOpaの食指がいたく反応、もう他になにも考えられない。目指すはテレビで見た、やわらかい仕上がり。さっそく実践、厚切りの生姜を五六枚、酒の鍋にほうりこみ魚を蒸す。あとは調味料をくわえて、落としぶたに中火で短時間煮てみた。さてそのお味は・・うまかった、実にうまかった、しばし酒を忘れるほどにうまかったのでありました。
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by mizzo301 | 2015-06-08 16:56 | エッセイ | Comments(0)

ふえるふえるアマリリス

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 花の形からユリの一種かと思っていたアマリリス、実は彼岸花の科に属するそうな。ウィキペディアで知った。それにしてもふえる。花を終えるとすぐ花茎を切る。葉はそのまま水を与えながら枯れるにまかせ、晩秋、化成肥料をほんのひとつまみ鉢にのせる。それが正しい栽培法かどうか知らないが、Opaは長年そうしてきた。翌春、必ずといっていいほど新しい芽が出て株がふえる。さいわいもらってくれる人があるからいいが、それでもいつも庭に七つ八つはある。元は外国からきた娘の友人が、ホームステイのお礼にくれた一本である。以来二十年あまりでふえた鉢は数しれない。今年は七鉢のうち三鉢が早くにつぼみをつけた。うち一鉢はもらわれていったので、咲くのは二本のはずだった。ところが水をやりながらふと見ると、他の三鉢からも花茎がのぞき、新株も伸びはじめている。一鉢だけにつぼみはないが、面目ないからかこれは三株にふえている。少子高齢化の人間界とは大違い、とりあえずめでたい。記念撮影をしておこう、集合!Opa腰をかばいながら、植木鉢をずるずると引き寄せる。ピンクのカラーの一鉢もいたか。毎年すでに枯れ果てたかと思っていると、春には必ず芽をふく律儀者である。仲間にいれてやろう。よそのクラス写真にすまし顔でまぎれこんだ経験がOpaにもある。
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by mizzo301 | 2015-06-02 16:52 | エッセイ | Comments(0)