カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

<   2015年 05月 ( 5 )   > この月の画像一覧

電柱のない風景

d0087054_23393094.jpg

 鍼治療のために、六甲アイランドのホテルによく泊まる。朝食の窓から見える港には、キリンのオブジェのようなクレーンが立ちならび、停泊する巨船はコンテナ満載で、まるで浮かぶ雑居ビルのように見える。ここは神戸港内の人工島である。みなと神戸のロマンはないが、よそにはないすっきりとしたおしゃれな町並みがここにはある。完全に計画設計された人工の町である。縦横に走る直線道路上に、高層マンション、学校、ホテル、病院、商業施設、ミュージアム、公園などがほどよく配置され、公共交通機関六甲ライナーがその中心を貫いて走る。宿の上層階から見ると、プラレールの車両がことことと走る、ジオラマの世界に自分がいるような気分になる。かつてパソコンではまったシミュレーションゲーム、シムシティの世界である。エレベーターで下界におりて、杖を頼りにジオラマ世界に立ってみる。このすっきり感はいったいどこからくるのか、きょろきょろ、Opaは気づいた。電柱がどこにもない、だから空中に電線がない、ゆえに見上げれば空、ゆえにこの開放感・・。Opaこの町が気に入ったのはいいけれど、この針治療にいつまで通うことになるのだろう。
[PR]
by mizzo301 | 2015-05-30 23:42 | エッセイ | Comments(0)

新世界な日曜日

d0087054_177448.jpg

 W大学はOpaの家から車でほんの20分の所にある。そのオーケストラが府県境の峠を越えて、日曜日この町にきてくれた。演し物のメインは、ドボルザークの新世界である。地元の合唱団が共演のプログラムもあって、サラダホールは超満員。なんとチケットは完売だという。オケの弦楽部門に関係する娘から手に入れおいてよかった。ファンで常連だというTさんが、人混みのなかに杖をひくOpaをみつけて声をかけてくださる。せっかく主人も誘ったのにふられて、ひとりで参りましたと残念そうにおっしゃる。日曜日にきれいな夫人をひとり行かせて、ご主人は心配じゃないのかなあ。さてこのオケ、楽器にふれたのは大学に入って初めてという人がほとんどだという。そんな学生たちが、クラシックの大曲を見事に演奏する。もちろんプロのような鮮やかな名演ではない。それどころか、想定外に耳がおどろくこともたびたびある。それでも楽器を始めて1年未満からせいぜい3~4年の学生たちと、母校のオケをこよなく愛するOBである。それがドボルザークを粛々と聴かせてくれる。Opaはそれを楽しみにいつも聴く。そこに名演奏を聴く時とは別の楽しみがある。ティンパニーがとてもよかった。女性である。プログラムでは二回生のOさん、パチパチパチパチ・・
[PR]
by mizzo301 | 2015-05-26 17:14 | エッセイ | Comments(0)

今ごろレモン

d0087054_17201520.jpg

 初冬にはみずみずしいグリーンだったレモン、毎年寒さが増して黄色く色づき始めるころには収穫するのが普通である。足腰の痛みをいいことに、今年はそれをしなかった。たまに訪れる娘たちが、紅茶のたびに一つちぎり二つちぎりと採ったきり、あとはすべて枝に残されたまま月日が過ぎた。ゆれる樹上で寒風にさらされ、季節外れの台風で大雨にたたかれるレモンが気にならないわけではなかったが、ついうち眺めて日が過ぎた。そんなさる夕方、ご近所のN夫人が散歩がてらOpaを訪ねてくださった。一昨年レモンを植えたそうである。今期にやっと花が咲きました、実のなるのが楽しみです、Opaさんちはもうこんなに実がなってる、早いですねえ、などと真顔でおっしゃる。トンチンカンなのかからかわれているのかわからない。かくかくしかじか、周回遅れですよと釈明する。翌朝、右手に高枝切り鋏、左手に杖、まるで人間手長えび、ついにレモンを収穫する。数は多くはない。レモンの香りただよう中、作業はすぐに終了。取り込んだ実は決してきれいではない。はげしく揺れ動く樹上にすておかれ、枝葉や棘などとこすれあったのであろう。その肌は無惨に荒れてはいるが、無農薬、純粋無垢のレモンたちではある。
[PR]
by mizzo301 | 2015-05-19 17:22 | エッセイ | Comments(1)

睡蓮の花

d0087054_23145861.jpg

 鍼治療から一週間ぶりに帰宅すると、いくつめかの睡蓮がふたつ仲良く咲いていた。花は朝に開いて夕べに閉じる。これから秋にかけて、いくつも花を咲かせるが、人がその枯れた姿を見ることはない。彼女たちはおのが寿命を覚るかのように、もとのつぼみの姿になり、人知れず水没して朽ちる。花言葉は清純な心、あるいは信仰であるそうな。煩悩の鬼、Opaの庭にありながら気高きことよ。
[PR]
by mizzo301 | 2015-05-14 23:16 | エッセイ | Comments(2)

はりの効能

d0087054_1923139.jpg

 四月も終わりにちかく、ことし初めての睡蓮が開いた。Opaが鍼治療に出かける朝であった。何となく幸先のいいような気がして、思わずスマホのカメラにおさめてから六甲の鍼灸院へ向かった。台湾出身の先生がこの地に開いて30年になるという。中国鍼の初体験である。簡単な問診の後パンツ一つでベッドにうつぶせになる。次の瞬間、左足の梅干しのきわにプスリと一撃、後はあれよあれよという間もなく、両足のふくらはぎから腿、腰、背中にかけて針が突き立てられていく。痛い。その痛みが箇所によってさまざま、プツリ、プスリ、グリッ、グニッ、グイッというあんばいである。これで足腰のつらさが軽減されるならと耐える。二日目の治療でその痛みを数えてみたらどうやら73本であった。訊くとOpaには50本から100本をうつのだという。Opaハリネズミ、その姿勢で小一時間。うつぶせで見えないが、先生が何度かすべての針に手を触れるみたい。そのたびに全身にビリビリと電気が走る。治療がすむと、心なしか足がかるくなった気がする。かというて、しばらく歩くとやはりだるさと痛みにおそわれる。でも前とは何かがちがう。早く良くなりたいから、つい劇的な効果を期待してしまう。あせるなOpa。今は二度目の神戸滞在、連休をはさんで、断続的に13回の治療を受けることになる。家ではいくつ目かの睡蓮が開いていることだろう。帰れば、どうでしたかとさりげなく花に問われそうな気がする。
[PR]
by mizzo301 | 2015-05-08 19:04 | エッセイ | Comments(4)