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<   2014年 10月 ( 3 )   > この月の画像一覧

柿を買う

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 この秋これで三度目である。九度山の柿の赤いのぼりが男里川のほとりにはためいているのを見ると、つい車を止めて買ってしまう。ひらたね種という種のない柿である。皮をむいて一口大に切れば、そのまま口にほうり込んで食える。甘い。Opaの大好物である。富有柿もあっさりとしてうまいが、あいつは種がやっかいである。ひらたね種も、あんなに甘い実がみのっているのではなく、元は渋柿なんだそうである。それを炭酸ガスなどでどう処理するのか、渋をぬいて出荷されるのだそうだ。この季節、この地で長年それを食べながら、Opaは知らなかった。今更と思いながら柿の渋をネットでたぐると、おもしろい解説があった。化学的説明はOpaにはわからん。簡単にいうと炭酸ガスで異常呼吸をさせ、柿を生殺しで苦しめていくと甘くなるという。干し柿の甘いのも、渋柿の皮をむいて縄につるし、寒風にさらして何日も拷問でつらい目にあわせた結果だそうだ。アルコールで渋抜きの方法もあって、こちらもいやがる渋柿に、無理矢理強い焼酎を飲ませて、二日酔いのしんどい状態で何日かをすごさせて甘くするという。Opa知らずに買っていた一盛り五百円の柿たちは、九度山から来た、実はえらい苦労人なのであった。
by mizzo301 | 2014-10-27 17:59 | エッセイ | Comments(2)

秋の日の影法師

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 朝夕の散歩は欠かせない。ドンのためでありOpa自身のためでもある。特にドンは子犬であったころ、部屋でウンチなどしようものならこっぴどく叱ったせいか、家ではけっしてウンチをしない。雨の朝など、せめて家の囲いの中のどこかですませてほしいと思うのだが、それができない。雨にもまけず風にもまけず、珍しく雪の降り積む日でも、はたまた台風が来ようとドンとOpaの散歩に休みはない。たとえ豪雨でもふたり、いや二匹は共に雨合羽をはおり、出かけていくのである。これが老人のためのささやかな運動だと思うから、特につらいとは思わないが、朝夕せめて雨でないようにといつも祈る。秋たけて往来にドンの影法師
by mizzo301 | 2014-10-23 23:42 | エッセイ | Comments(2)

店じまい

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 古布回収の日に服を捨てた。無職の年金生活者に、もはや洋服は無用である。クローゼットや洋服ダンスから手当たり次第に放り出し、何着かのスーツ、替え上着に替えズボン、シャツなどを大きなゴミ袋二杯に詰め込んだ。なかには馬子にも衣装を信じて、Opaにしては大枚をはたいたこともある。その馬子もいまやすでに廃業、衣装はいらない。訣別の情を振り払い、ゴミ袋の口を閉じた。重い袋を両手にして、腰をかばいながらゴミ集積場に運ぶ。すっきりとしたクローゼット、洋服ダンスには防寒を思うと捨てられないコート二着、これからも出番がありそうな合いと夏の黒服が所在なげにぶら下がっている。人生の店じまいをはたしたような気分である。これでいいのだと自分に言い聞かせているOpaがいる。近所のホームセンターでナデシコを六本買って、庭のプランターに植えた。
by mizzo301 | 2014-10-09 18:31 | エッセイ | Comments(1)