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ぼく獅子丸

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 次女夫婦の愛犬、シーズーのしー子が亡くなったのは春たけなわ、この四月のことである。子供のいない二人にとって、しー子はペットの範ちゅうをはるかにこえて、まさにまな娘であった。場末のショップにいつまでも残っていた子犬、見るたびに二人はそのひかえめなまなざしにひかれ、ついに仕事で留守がちな事情を思案もせずに買いとったのだという。それから十年余り、娘夫婦の愛情は惜しげもなくしー子にふりそそがれ、彼女もふたりによくあまえてその愛に応えた。たまにうちに来ると、彼女にちょっかいをだすドンは大邪魔者で、娘婿などは手ではらい足でそっと押しやるなどするのにドンは耐え、Opaはだまって見ぬふりをするのだった。そこへしー子の突然の死である。つくせる限りの手を尽くした夫婦の失意はひとしおではない。ふたりの心に大穴があいたであろうことは容易に想像がつく。悲しみをかみしめながら僧をたのんで葬儀をいとなみ、亡きがらを荼毘にふしたという。そうして先日、無事に四十九日を勤めましたといって二人はOpaをたずねてきた。それまでとはうってかわって婿はドンにやさしく、彼らが帰った夜、おじちゃん変わったねとドンはOpaにささやいたものだった。獅子丸の写真がメールとともに届いたのはその四日後である。やはりシーズーの子犬、悲しみの穴は早くうめた方ががよい。今度は男の子です、姓名判断の命名に手こずりましたという。獅子丸は440、A音の周波数である。バイオリン奏者夫妻の子供になるのだからそれもよかろう。それに画数でも申し分ないのだそうだ。それはともかく、またもとのおじちゃんにもどっちゃうのかなあと、ドンはうかぬ顔でいう。
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by mizzo301 | 2014-06-23 23:26 | エッセイ | Comments(2)