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<   2014年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧

スズメバチの巣Ⅲ

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 まっ赤に色づいたユスラウメをざるにつみとる。こどものころ、女学生だった叔母と雨上がりの庭で、よくグミやユスラウメを小さな竹のざるにつみ取ったものだった。そんな七十年もむかしの幻影のせいで、今もそのうれた赤い実をみるとつみ取らずにはおれないのだ。よろよろと歩行もままならぬ老人が初夏の朝日をうけて、食べる気もないユスラウメをつみながらとおい昔をなつかしむ。センチメンタルじいさん、何げなくかたわらの椿に視線をうつしておどろいた。緑こいその茂みになにやらあやしいものがある。こげ茶色の野球ボールのようにも見える。悪い予感。木の反対側にまわりよく見てぎょっ、小さいながらまぎれもないとくり型のスズメバチの巣である。センチメンタルどころじゃない。Opaの頭の中を、つばさのはえた一万円札が飛ぶ。十数年前のドッジボール大の時は三万円、昨年は今と同じ大きさで一万五千円、スズメバチの巣の駆除料金は高い。かといって、専門業者でさえ大仰な防護服姿で作業するのをみると、とてもこわくて自分で手をだす勇気はない。でも惜しい一万五千円、身体がふるえ心は千々にみだれ、呆然。しばし巣を観察、いっこうに蜂の出入りはない。そこで蛮勇をふりしぼり、守銭奴Opa、自分で駆除を決意する。防護服などないTシャツ姿である。まず大きなビニール袋を、巣の真下の垣根に口をひろげて洗濯ばさみでとめる。そこへ椿の小枝ごと切り落とそうという作戦である。高枝切りばさみで、まず周囲のじゃまな小枝を落とす。もし蜂があらわれたら、はさみをおっぽり出して逃げる算段である。さいわいその気配はなく、ついに巣のある小枝を切り落とすが、ねらいは見事にはずれて袋の外に巣がころがる。よく見るとその一部はほころび、すでに空き家であるらしい。Opaの恐怖はさいわい杞憂にすぎたようだ。だが蜂たちが巣の建設を中途でやめてしまうなんて聞いたことがない。完成した豪邸のローンを想像してこわくなったのだろうか。
by mizzo301 | 2014-05-30 23:12 | エッセイ | Comments(2)

アマリリス放送

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 アマリリスが開きはじめた。この花にはあたりを払う存在感がある。どうしてと問いたいぐらいに堂々としている。実は7鉢もあるのに、ことしは2鉢だけの開花である。Opaの株分けがへたくそだったにちがいない。だがこの花は2鉢も咲けば十分である。おまけにそのうちの一本には、ふつう四つのはずの花が、ことしは六つもついている。十分すぎる。こんなのが七鉢みんな咲いて愛きょうをふりまかれたら、Opaは落ちつかない。ふつうは花が四つ、まるで拡声器のような形で咲く。そのスピーカーで四方にむかって、わたしきれいでしょとアマリリスは放送しているのである。Opaはいつもそんな想像をしてしまう。というのは、この町は全市どこにいても聞こえる有線放送の拡声器が随所にある。鉄塔の上に二本または三本セットにすえられたそのスピーカーが、まるでアマリリスににている。もとは繊維産業のほか、農業、漁業、林業などさかんな土地柄、町村合併以前からのサービスがいまも生きているのである。市役所や警察、消防署などからのお知らせが風にのって流れる。徘徊老人や迷子の特徴を流してたずね、無事に見つかりましたと報告を流す、人はそれを聞いてほっとするのである。Opaの居宅は隣町との境界に近く、その拡声器から流れる放送もよく聞こえる。「ピンポーン、こちらは000町役場です。町内に猿がひんぱんに出没しております。もし猿に出会っても決してものを投げつけたりして刺激しないようにしてください、ピンポーン。」大阪最南端のアマリリスは、猿のことも語るのである。
by mizzo301 | 2014-05-27 23:48 | エッセイ | Comments(2)
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庭先の夕まぐれ、ひだり腕にとまった蚊をかるくたたく。若いしま柄の蚊がひとつ、Opaから吸いとったちいさな血だまりに手足を長くのばして死んでいる。今年もはや殺生破戒の季節がやってきた。どんなに小さな命も尊いといいながら、蚊を殺しハエをたたく。ごきぶりにはスリッパで立ちむかうOpaは偽善者である。ところで裏庭のすいれん鉢、昨年末に二尾の金魚をなくして意気消沈、そのままほったらかしにしておいた。やがてぶくぶくもこわれ、降り積む枯れ葉でどぶ色に濁っている。これでは格好の蚊の発生源になってしまう。ようやく気を取り直し、そこでメダカを飼うことにきめた。鉢を洗い、ホームセンターでメダカと水草を手に入れる。メダカなら小さくて猫の目にもとまらないだろうと考えたのだ。かえでの木陰、棕櫚竹の根方においた鉢の水は久しぶりに澄みわたり、水草と麦飯石の間をすいすい泳ぐメダカを見るのはすがすがしい。いかにも初夏の景色である。とそこへご近所Kさんから電話、Opaさん金魚を育ててみませんかという。ちいさなポリバケツを持ってさっそくもらいに行く。見ておどろいた。水槽にごみのかたまりのようなものが動いている。よく見るとそれは1・5ミリほどの稚魚の集団であった。孵化から三日目だという。とりあえずそれをひしゃくに2杯いただく。数なんて数えられない。おそらく数百尾はいる。あまっていた小ぶりの睡蓮鉢を洗い、またホームセンターに走る。水草を買いたし、ぶくぶくも買う。それらをセットして稚魚をうつし、雨水で増水してあふれないようひさしの下のぬれ縁に鉢をおく。よほど目をこらしてのぞかないと、ごみと区別がつかない。メダカはちょっと心配だが、さすがにこれが魚とは猫も気づくまい。というわけで、メダカの裏庭小学校と金魚の託児所を同時開設のはこびとなり、待機児童問題にひと役かえたことはまことにめでたい。だがこのみどりごたちが、いつの日か赤いべべを着る姿を、Opaははたして見ることができるだろうか。先の気苦労が思いやられる。
by mizzo301 | 2014-05-18 19:09 | エッセイ | Comments(1)

野菜の季節

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 冬に四百円もしたレタスを、きのうは78円で買った。毎朝食べたいOpaだが、さすがに四百円のレタスは買わなかった。冬はキャベツを食えばいい。お金さえ出せば、夏野菜を冬にも食べることができる時代である。夏野菜なんていまではいわないのかなあ。みずみずしいきゅうりやトマトをかじって、夏を実感できた昔がおなつかしゅうござる。とりあえずこれから夏にかけては野菜が安くなる。それに大阪は、河内から泉州にかけて野菜の一大産地でもある。スーパーには他県産とならんで、大阪産のみずみずしい野菜が山とつまれている。小松菜78円、ほうれん草98円、小さめのトマト8個200円、きゅうり3本48円、ブロッコリーの新芽98円、りんご2個230円、和歌山産いちご一パック298円など手あたり次第カートにいれる。あとは豆乳とヨーグルト、野菜ジュースとバナナも買おう。庭先のアスパラガスもかるく茹でよう。オリーブオイルに酢と砂糖、醤油、塩こしょう、クミンなど、毎朝味の変わるOpa特製ドレッシングで生野菜をあえる。チーズとパン、鶏ささみの水煮とドッグフードなどをドンと分けあいながらすすむ、Opaのささやかな朝食のお時間です。
by mizzo301 | 2014-05-05 18:37 | エッセイ | Comments(1)