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<   2014年 01月 ( 4 )   > この月の画像一覧

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 ザザーッ、ザザーッと二度、波が打ち寄せる音でフーッと目をさます。目のすぐ下が水面だが海ではない。あごから口元が湯に洗われている。カクンと首を前に折って浴槽で居眠りをしていたのだ。目をさまさなければもっと湯に沈んでいたかもしれない。入浴中、Opaはしょっちゅう居眠りをする。脚をのばせる浴槽ではないから、つま先がつかえて溺れることはないと思っていたが、これじゃ油断はできない。この国では年間に、一万七千人が入浴中に死亡しているという。寒い季節、暖かいリビンから冷えた脱衣場、さらに熱い湯へという温度変化で血圧が急変して、心筋梗塞や脳卒中などをひきおこしそのまま溺死という例が多いそうだ。そういうことを考えて十年あまり前のリフォームで、Opaんちでは風呂場に暖房設備を導入した。ひとり暮らしになってからは、誰はばかることはない。テレビを見ながらあたたかいリビングでまる裸になり、シャツやパンツを洗濯機にほうりこみ、すぐとなりの浴室にはいる。血圧急上昇などの心配はまずない。それでもOpaのような気楽な居眠りで、入浴中溺死もあるのだろうか。まさかシュノーケルをくわえてお風呂にはいるのも変だよねえ。それにしても溺れそうなOpaを起こしてくれた、あの波の音はいったいなんだったのだろう。家が海岸に近いとはいえ、波音が直接きこえるほどに近くはない。不思議なことがあるものだ。
by mizzo301 | 2014-01-24 23:18 | エッセイ | Comments(2)

ホットビアでなにが悪い

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 ビールをあたためて飲むというと、だれもが例外なくまさかという顔をする。試しもしないで、そんなものうまいはずがないと声をそろえる。この寒い季節、Opaはビールをカップごとチンして飲んでいる。ホットビアである。あればレモンを一枚うかべると風趣が増す。ドイツ製の簡易ビールあたため器、ビアヴェルマーをアマゾンで買うこともできるが、チンで十分である。日本酒はもちろん、中国酒も燗でよしホットウイスキーもうまい。そこまではだれしもよしとするのに、ビールをあたためるというと、日本人は激しく拒絶するのはなんでやねん。ワインもホットがうまい。白ワインに蜂蜜をよくとかしてお湯割りにし、あればシナモンをちらすと気分が増す。ホットワインといえば2002年の年の暮れを思い出す。つれあいとOpaは降りしきる雪の中、市電D番でウイーンの北のはずれヌスドルフへ向かった。このあたりは古い農家で、自家ワインを飲ませるホイリゲが何軒もある。目指すは前になんどか訪ねた、終点ベートーベンガングの停留所から歩いてすぐの店である。コートの雪をはらってドアを押す。あたたかい。テーブルに置いたホットワインのカップを、両手で包み込むようにもつ初老のご婦人ふたりが静かに語りあう。広い店内にほかに客のすがたはみえない。彼女たちと通路をへだてたテーブルに案内され、会釈をかわしてすわる。少ない客がひとところにいる方が、店には都合がよいのであろう。戸外の中庭にまでワインと冷たいソーダ水を注文する人たちであふれた、夏のにぎわいが嘘のようである。この屋の何代目かの主と名のるお父さんがきて、二つのテーブルに交互にお愛想をいう。Opaのかたことにもよくつきあってくれるのに釣られ、ワインを二杯三杯とおかわりする。となりのご婦人たちとは、たがいにちらりと視線をかわす。そのたびにほほえんでうなずきあう。三時間ちかくもいたろうか、その間彼女たちは一杯のホットワインを前に静かにかたり、ときおり小さな笑い声をたてる。友といるのが楽しくてしようがないという空気がつたわる。彼女らと短いあいさつをかわして、Opaたちは先に店を出た。ウイーンにはめずらしいという、雪のふかい夜であった。
by mizzo301 | 2014-01-16 00:06 | エッセイ | Comments(1)

やまいのその後

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 痛いつらいと泣き言を書いておきながら、経過をいわないから気になるではないかと、いただいた年賀状でおしかりをうけた。ひとり住まいのOpaを遠くで案じてくださる、まことにうれしく、かつもうしわけない気持ちで拝読した。腰から右脚全体の痛みで歩くことはおろか、立ちあがることもできなかったのは昨年二月のことである。あまりのつらさに手術を申し出たが、それは最後の手段にしようと医師にさとされ、注射と点滴、投薬を続けた。およそ三か月後の六月ごろにはようやく杖をつかって少し歩けるまでに回復、今では投薬を続けながらではあるが、少しの距離なら杖なしでも歩けるようになった。そんな中、昨年十月はじめのある明け方、トイレへ行くにも身体がふらついてどうにもならない。それで朝方になって、ふつうなら五、六分で歩いて行けるかかりつけの医院へ、のろのろと車を運転して行った。あぶない、あとから思えば人をたのむべきであったと反省している。診断はひどい貧血であった。検査で血液関係の数値が普段の半分以下である。おもえば真っ黒いうんちが何日かつづいていた。たぶん胃の出血だろうと医師のみたてで胃カメラを受診したが、胃から十二指腸に出血の痕跡はない。つづけて大腸の内視鏡検査、予約をまつ十日ほどの間、以前に大腸癌を切除していることを思い、癌の再発ではないかとほんとうにはらはらした。結果は大腸にも出血の痕跡はない。あと小腸などに疑問はあるが、ひとまず貧血もおさまってているようだから、血液検査をつづけて様子を見ることにしましょうということになった。以後十一月、十二月の二回の検査を経て、血液関係の数値はほぼ回復。もし悪性腫瘍などの出血であれば二ヶ月で回復することはないでしょうと医師の推論である。今後も検査と観察ということで出血箇所はつきとめられぬまま、この件は中途半端に落着したのである。というわけで今は、整形外科と内科に通院、薬を飲みながら一応元気でおります。こう寒いとやっぱり芋焼酎の湯割りがうまい。
by mizzo301 | 2014-01-05 22:38 | エッセイ | Comments(2)

謹賀新年

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 元旦八時起床、おだやかな冬晴れの朝である。ドンと散歩にでる。まだ足腰のかげんで長くは歩けない。ポリ袋に初うんちをひろう。ドンからのお年玉、ありがたくいただいて帰る。孫娘ににせ札のポチ袋をわたして、お正月の責務はほぼ完了。インスタントのしじみ汁に餅をいれて雑煮のつもり、となり町のすし屋から取り寄せたおせちを開く。ドンと孫娘、Opaの三人で膳をかこむ。新年のぜいたくな朝餉である。ビンの底に飲み残した日本酒をあたため、屠蘇にする。三人に通じる話題もないが、まずは日よりうららか、結構な新年と思いたい。
by mizzo301 | 2014-01-02 13:39 | エッセイ | Comments(3)