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ああ、女王蜂

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 五月のある朝、久しぶりに泊まった娘が二階で大声をたててOpaを呼んでいる。何ごとかと重い脚で階段に向かうと、はやくも突き当たりの窓格子にさかさとっくりが目に入った。スズメバチの若い巣である。およそ二十年のむかし、雨戸のとぶくろに同じものがあった。妙なものがあるねとつれあいと気楽に眺めているうち、そのとっくり数日でバレーボール大に成長して、スズメバチの群れが飛び交ったのだった。今回は脚の痛みでふた月も二階へ上がらなかったから、まったく気づかなかったのだ。娘にいわれなければ、またでかい巣になってしまうところだった。さっそく市の環境課に電話すると、自分で駆除なさるなら防護服をお貸しします、あるいは業者にたのむしか手はないという。そうだ、二十年前も市へ電話したのだった。「ナニッ、スズメバチの駆除?市の職員はスズメバチに刺されてもよいとでもいうのかね」なんていわれてびっくりして電話を切ったっけ。それにくらべると、今回の応答は言葉ていねいで、防護服貸しますのオプションがついた以外むかしとかわらない。自分で駆除する勇気はOpaにもちろんない。さりとてそのむかしたのんだ業者は、おおげさな宇宙服を身にまとい、ビニール袋にあっさりと巣をもぎとり、ついでにOpaの手から三万円をもぎとったのだった。背に腹はかえられぬ、自分で出来ぬならこんども宇宙人に頼るしかない。家に三万円があるのをたしかめて電話をする。その大きさなら一万五千円で結構ですという。Opaよろこぶ。さっそく軽トラでやってきた今回の宇宙人、ほーっ、これは女王がつくったばかりの巣ですなといいながら、とっくりの口から強力そうな駆除剤を吹き込む。そこへ一匹のスズメバチ、なんども巣へ入ろうとするが、毒を感じるのかどうしても入れずにあせっている。いったいどうしたことかといかにも気が気でないのが見ていてわかる。こいつがこの巣の女王でっせと大阪弁の宇宙人、捕虫網をいっせん、その蜂を捕らえるやベランダの床であっという間に踏み殺してしまった。あまりにも残酷な女王蜂の運命ではある。
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by mizzo301 | 2013-05-29 18:45 | エッセイ | Comments(0)