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船旅にもどろう

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 船旅にもどろう。ノルウエーの沿岸急行船ミッドナット・ソル号、2004年就航というからまだ新しい船である。カジノがにぎわい、レストランやショップがいくつもあるような豪華船ではない。むしろそんな船にはない、品の良い落ち着きが感じられる。キャビンの居心地もわるくないが、随所にあるオープンスペースがゆったりとしてくつろげる。おまけにWi-Fiが使える。Opaもラウンジのソファでコーヒーをすすりながら、、持参のキンドルで日がなネットを楽しんだ。船はフィヨルドのいくつもの港をめぐる。寄港時間はほぼ30分から1時間とみじかい。その間に船客たちは下船して、近くのスーパーなどをひやかす。2時間という例外的に長い寄港が二度ほどあった。そのひとつはトロンハイムという町である。そこでは朝の8時から日本語、英語、ドイツ語と言語別のバスが数台、船客の観光案内をしてくれた。船会社のサービスだという。雪と氷で凍てついた小高い丘から、町を遠望する。ノルウエー随一の古都だというが、古色蒼然の気配はあまりない。港に停泊するわが母船も見える。つぎに大聖堂に向かう。僧服のような衣装の寺のガイドたちが、言語別に案内してくれる。日本語ガイドはいないから、英語の説明をバスの日本人ガイドが通訳してくれるのを聞く。英語ドイツ語のグループが立ち去ってからも、聖堂の故事来歴をえんえんと説くガイド。要するにふた言語を聞くから、倍の時間がかかる。伽藍の内部は広くて寒い。必死でオシッコをこらえる。長い講釈から解放されて、境内の休憩所でトイレに飛びこんだときは生き返った心地であった。まもなく帰船、トロンハイムってどんな町やったん?
by mizzo301 | 2013-03-24 21:51 | エッセイ | Comments(0)

メジロの来ぬ日

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 うす曇りの一日、裏庭の木の小枝に刺した輪切りのみかんを、日がなながめて過ごした。姿を見せたのは図体の大きなひよ鳥ばかり、メジロは1羽も来なかった。毎年こんな日がある。そしてこの日をさかいに、毎日さかんにみかんをついばんだメジロたちが、ぱったりと姿を見せなくなる。今年は三月十九日、Opaの庭に飽いたメジロたちは、彼岸の里に遊ぶのだろうか。もしそうならば、訪ねてほしいひともある。
by mizzo301 | 2013-03-20 15:49 | エッセイ | Comments(0)
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 ノルウエイは北極圏の港、キルケネスからベルゲンまで五泊六日の船旅である。もとはフィヨルドに点在する港に物資を届ける船であり、カーフェリーでもあるのだが、今では観光船の役割もになっている。流行の豪華客船ではない。船客はラウンジやカフェなど、お気に入りの場所で読書をしたり、タブレットやノートPCでインターネットを楽しむ。リビングルームに居ながら旅する感覚である。眼をあげると、氷山かとみまごう雪と氷の山々が次々とあらわれる。ときには船からひょいと飛びうつれそうな、両舷の船腹すれすれのせまい水路を、最徐行ですり抜けもする。こんな海域で鍛えられたノルウエイの航海士たちが、世界の海で活躍するゆえんであろう。半島や島の寄港地ではそのつど下船して、もよりのスーパーで買い物もできる。Opaもどこかの港で、クリネックス一箱とミネラルウオーターを買った。物価の高い国ではあるが、船ではとくに高い。日本国ローソンで百円ちょいで買える水が、船では40クローネすなわちおよそ800円である。ただ乗船時に五千円弱のマグカップを買えば、コーヒー紅茶は飲み放題のシステムではあった。朝と昼は好きなもの食べ放題のスモーガスボード、いわゆる本場のバイキングである。盛りだくさんのホットメニューにハムやチーズ、生鮮野菜にフルーツ、それに数種のパンがどれもうまい。さらにスモークドサーモン二種、いわしやニシンのマリネなどがおよそ十種、食べやすくばらしたオマールエビや、甘エビ、赤ゆでのザリガニてんこ盛りの大皿、それに所作がひかえめで笑顔をたやさぬウエイトレスのきれいなおねえさん、これは自由にとって食べてはいけないということであった。
by mizzo301 | 2013-03-14 15:49 | エッセイ | Comments(1)
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 右脚の痛みとしびれで、観てきたばかりの北欧の印象がぼやけてしまいそう。だが食べ物の印象は、胃の腑におさめてしっかり持ち帰った。バイオリン屋はトナカイにいたくご執心である。行きの飛行機では、はやくトナカイを食べてみたい、トナカイの肉ははうまいか、などと十回は聞かされてOpaの耳には角が生えてしまった。ヘルシンキで乗りついでの長いフライトのはてに、ようやく極北のホテルに入る。ツアコンのおねえさんは大変である。さっそくメンバー26人をラウンジに集め、施設の概要、町の様子、今後の旅程などを説明、明日はオプションで、トナカイ牧場でそりの体験です、うんぬん。そこでバイオリン屋ハイッと手をあげ、わたしトナカイを食べとおます、どこで食えますかと単刀直入のご質問。するとおねえさん、町の地図をさしあげます、そこにある数軒のレストランをたずねてみてください、とこれまた明快なご回答。さらにトナカイは英語でleindeerです、と教えてくれる。翌日のひるどき、レストランを求めてバイオリン屋と町にでる。一面の雪景色で方角がまるでつかめない。ようやくたどり着いた、半分雪にうもれたようなレストランの看板メニューに、トナカイのステーキを見つける。暖炉に薪が燃えさかる店内は、まさに北の田舎町のレストランである。小太りで愛想のいいおかみに、肉と焼酎がわりの白ワインをグラスで注文する。Opaにワインはわからない。あれば飲む。クイクイと飲んではいおかわり。そこへトナカイのグリル、牛フィレ肉に似た食感にややあまいソース、付け合わせはジャガイモと名前のわからんグリーンの葉っぱである。さてようやく念願をはたしたバイオリン屋、一杯のワインに上気して顔をあからめ、いかにも満足のご様子、はな毛がはな息にゆらいでいる。それを見たとき、飛行機でOpaの耳に生えた重い角が、ようやくポロリと落ちたのであった。
by mizzo301 | 2013-03-09 16:00 | エッセイ | Comments(3)
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 右太ももからふくらはぎにかけての痛みで歩けない。杖にすがって家の中でうごめいている。尻のどこかの筋肉が、何かの拍子にズーンと痛むことは前からあった。それを気に止めぬことにして、十日間の旅行から風邪をひいて帰国したばかりである。朝、ベッドから降りたものの痛みで右足を一歩も動かせない。電話におどろいて駆けつけてくれた娘の車で鍼灸院へ行ったが効果はない。仕事で帰って行った娘にかわり、ご近所の好意で鍼灸に三日通ったが、さらに効果なし。今朝はまたご近所さんに送られて、整形外科を受診、注射二本とマッサージを受けたが、まだ効果はわからない。というわけで、ずいぶんご近所の世話になっている。どうやら杖をついてゴミをもって出たところを、どなたかに目撃されたらしい。通院の足になりましょう、犬の散歩を引き受けます、買い物はありませんか、ゴミを出しましょうなどと、驚いたことに四、五軒から電話をいただいた。Opaひとり暮らしの事情をご存じの方たちではある。お言葉にあまえ、通院はKさんとYさん、午前午後のドンの散歩はお隣のMさんとWさんが交代で、買い物などはYさん、ゴミ出しはMさんにとお願いした。いつまでも頼るわけにはいかないが、当面の難儀にはありがたさが身にしみる。そこへふたたび仕事の合間にかけつけてくれた娘が、チキンの香草グリル、ホタテ稚貝のワイン蒸し、電気オーブンのほこりをはらって、カマスゴのキッチュなどと贅沢な晩餐を準備してくれた。キッチュってなんだ、はさておき、Opaの誕生祝いだという。忘れてはいなかったが、あらためて祝ってもらうなんて何十年ぶりだろう。こういうの、不幸中の幸いというのだろうか、何度目の誕生日なのかはどうしても思い出せない。
by mizzo301 | 2013-03-04 15:48 | エッセイ | Comments(3)