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思い出の犬、その後

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 今では考えられないことだけど、そのころ犬を放し飼いにする家は多かった。野犬狩りもあったらしく、捕獲された犬はみんな三味線にされるというわさであった。あの日から何日も帰らないアキは、もう三味線になったのではとふと思うこともあった。当時Opaは、家族とはなれた四畳間でひとり寝起きしていた。部屋には父手作りの小さな勉強机と椅子、隅にたたんだOpaの寝具だけがあった。いつの頃からかその部屋に異臭がただよいはじめた。悪臭である。父に話すと、床下におおかた猫の糞でもあるのだろう、そのうちに消えるといって取り合ってくれない。そのままでは、臭いが気になって寝付けなかった。ある夜、Opaは思いきって畳をめくり、床板をはいだ。そこに電灯に照らされ、土の上に浮かんだものを見て息をのんだ。灰色のカビにおおわれた厚紙のようなもの、それが犬のかたちをしている。首のあたりには、見覚えのあるくたびれはてた革の首輪があった。農家が畑に、害獣駆除の毒餌をおくことがあると聞いてはいた。アキはそんなひとつを拾い食いしたのだろうか。家にはたどり着いたが、我が身に異常を感じて小屋に入らず、床下にもぐりこみ、Opaの真下のつめたく黒い土に身を横たえて、苦しみながら息絶えたのだ。あんなに帰りを待ったアキは、ずっとOpaのそばにいたのだった。首輪を持ち上げると、皮だけのアキは地面をはなれ、骨らしき物がはらはらと散った。暗い夜であった。庭木の枝に懐中電灯をかけて、花のない花壇の隅にOpaはくわで穴を掘った。そこへ異形のアキを折りたたむように納め、拾いあつめた骨をのせて土をかぶせると、ちいさな土まんじゅうができた。両足でそれをとんとんと踏んで、アキの埋葬はおわった。Opaは中学生になっていた。
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by mizzo301 | 2013-01-24 14:32 | エッセイ | Comments(2)

思い出の犬

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 足がまともにとどかない大人の自転車を、ペダルをけるようにして乗っていたのは小学何年生のころだったろうか。自転車でよくお使いに出された。庶民が車を持つなど考えられない時代であったから、親は子供が交通事故にあう心配などする必要はなかったのだろう。そんなある日の帰り道、畑の間を通る道を一匹の子犬がさまよっている。思わず自転車をとめると、子犬はすぐにかけよって来た。人気の少ない農道に捨てられたのだろうか。つれて帰りたいと思ったが、気むづかしい父に怒られるのがこわくて、そう簡単にはできない。おいて帰ろうとすると、一所懸命に自転車を追う。しかたなく抱き上げてもとの場所へもどすのだが、また追ってくる。とうとう子犬は、少年Opaを家まで追って来てしまった。今にも父の怒声がふるかと思いながら、ただいまをいった。ついて帰った子犬には、気づかぬふりでいた。あれっ、この子犬はどうした、という父の声に怒気はなかった。子犬を見る眼には意外にもやさしいものがあった。Opaは安堵して、問われるままになりゆきを話した。父はその子犬にアキという名をつけてくれた。季節はまさに秋であった。あろうことか父は、その子犬に革の首輪まで買ってくれたのである。アキは成犬になってもさほど大きな犬ではなかった。どのくらい一緒にいたろうか。いつもOpaにつきまとう忠実な犬であり、人みしりで内気な少年のよき伴侶でもあった。そのアキがある日忽然と姿を消してしまった。夕方にはいつも帰る自分の小屋に、その日は夜になっても帰らなかった。
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by mizzo301 | 2013-01-23 16:14 | エッセイ | Comments(0)

めじろの季節

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 振り袖姿にブーツをはいて、雪の中を成人式にむかう娘さんたちをテレビで見た。よりによってこの日が雪なんて・・と笑顔でうらみごとをいっている。大雪であれなんであれ、あふれる若さにまさるものはない。一夜明けてぬかるみに難渋する通勤者たち、スリップで立ち往生の自動車、雪で東京はさぞかし大変なことだろう。きのうの低気圧で、大阪は冷たい雨が降りしきったが、雪にはならなかった。今朝は曇り空、ときおり薄日がさす裏庭を、ぼんやりながめているOpaの視界を、一瞬かすめて何かが横切った。めじろ、確信はないが、もうそんな季節であるのかもしれない。キッチンへ急ぐ。暮れに買ったままのみかんを輪切りにして、庭の楓に突き刺す。ルビー色にうれた果樹が、いかにもうまそうである。たまらん、Opaもひとつほおばりながら、部屋の灯りを消す。ほどなく一番奥のアオキの枝葉が小さくゆれて、南天に姿を見せた小鳥はやっぱりめじろである。まよわず楓に飛び移り、みかんをついばむ。奥の枝葉がさらにゆれて、べつの一羽があたりをうかがっている。めじろはよくつがいで来る。一度あらわれると、老人のひとり暮らしを気にかけてしょっちゅう訪ねてくれる。せいぜいみかんのサービスをおこたるまい。残りのひとつを自分が食ったので、そのみかんがない。あすの買い物メモ、トイレットペーパー、ドライイースト、めじろのみかん・・
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by mizzo301 | 2013-01-15 15:38 | エッセイ | Comments(2)

謹賀新年

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 目が覚めたらお正月、子供の頃はほんとうにうれしかった。どこへ行くでもないのに晴れ着をきせてもらい、お年玉の期待にわくわくした。雑煮を祝って、あとはカルタや双六、福笑いに大人もよくつきあってくれた。ゲーム機に夢中の今の子供たちも、お正月はやはり楽しいのだろうか。さて年老いた自分はどうだ。大晦日の飲み過ぎでけだるい身体をようやく起こし、昨日のパッチをそのままはいて身支度。うんち拾いのポリ袋をポケットに、ドンを連れてよたよた出かける。海岸を散歩する人やジョギングの若者たちも、もちろん晴れ着などきていない。それでも新年にはあたらしい下着をつけているのだろうか。Opaの想念はくだらない。酒はよくない。静かな海のむこうに、眠そうに淡路島がよこたわる。雲間から差し込む朝日に、神戸の市街が光っている。震災復興の町である。なんだかそこだけがあらたまって見える。目の前の関空を、飛行機がしきりに発着する。早朝の便で来る娘と孫が到着するころである。ポリ袋にドンのうんち充填も完了、もう寒空に用はない。ぼちぼち帰って、刷り上がったばかりのお札でお年玉の用意でもするか。
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by mizzo301 | 2013-01-03 16:45 | エッセイ | Comments(0)

大晦日

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大晦日
 感懐なし、寒い。明日は孫ふたりが来るという。それまでに偽札を刷るか。Opa本日体重64.8Kg、血圧156、おやすみ・・
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by mizzo301 | 2013-01-01 00:02 | エッセイ | Comments(2)