人気ブログランキング |
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

<   2012年 07月 ( 4 )   > この月の画像一覧

だんご虫という生き方

d0087054_125766.jpg

 朝、玄関先の落ち葉を掃きとったちりとりに、だんご虫がひとつ入っている。丸い姿から起きなおり、ちりとりの外へ逃れようとあわてている。だがその向かう方向は正しい。ようやく地面のタイルに逃れたのを、ほうきでちりとりへ戻す。ころころと転がり込んではすぐに起きなおり、ちりとりの外へと急ぐ。なんどやっても決して方向を間違えない。そんな彼を見ていると、ぐずぐずしていると脱走不可のゴミ箱に送られ、ゴミ収集車に乗せられて、その先には焼却場の業火が待つことを予見しているかに見える。このだんご虫よりはるかに方向音痴の人を知っているが、それはさておき、虫が見せる生への執着にOpaは見入ってしまった。何度目かの脱走を見送って思った。だんご虫は生きることをどう考えているのだろう。生きてさえいれば、なにか楽しみがあるかもしれないと漠然と考え、ただ漫然と生きているのならOpaとかわらない。土用の丑の日にウナギを買った。年金老人には破格のぜいたくである。夕食にひとり鰻丼を食った。うまかったが、これが人生の楽しみというものだろうか。まだほかにもっと楽しいことが、残りの人生にほんとうにあるのだろうか。だんご虫よ、おしえておくれ。
by mizzo301 | 2012-07-28 13:05 | エッセイ | Comments(1)

気がつけば灼熱地獄

d0087054_1503274.jpg
 
 突然の梅雨明け宣言から連日の猛暑である。朝、庭先のテーブルにテント屋根をしつらえ、アイスコーヒーのカップとノートPC、電話の子機を持ち出す。植物の緑と洗濯ものに囲まれた空間を吹き抜ける風がここちよい。iTunesでモーツアルトのソナタを聴きながら、コーヒーをすする。PCのメールをチェックしてニュースを読む。玄関先の日陰、冷たいタイルにドンが気持ちよさそうに寝そべっている。やがてPCの画面がかすみ、天国からピアノとバイオリンがかすかに聞こえてくる。至高の時間はここまで、ふと目ざめると11時。玄関のタイルに日陰はなく、すでにドンは屋内にひきあげたらしく、そこに姿はない。頭上のテントは灼熱の太陽に焼かれ、風はない。額からは汗がタラリタラリ、さわやかだった朝の空間は、いつの間にか暑熱のたちこめる日陰に変わっていた。屋内に避難すべくあわてて立ちあがるとクラリ、これはやばい。泉南地方のテント下で、熱中症の老人死亡などと、夕方のテレビニュースに流れそうである。キッチンに飛びこみ、氷を入れた炭酸水をがぶ飲みして、凍らせた保冷剤を首に巻き付け、頭にもひとつ乗せる。その場に腰をおろしてほっとしていると、窓の外には、まるで何事もなかったかのようにバイオリンソナタが流れている。猛暑に強いモーツアルト、あんたはえらい。
by mizzo301 | 2012-07-26 15:02 | エッセイ | Comments(2)

草を刈る

d0087054_16301073.jpg

 梅雨の中休みだという晴天の一日、電動除草機で庭の草を刈った。雑草しげり放題、そんな雨の庭を見ているのが憂鬱だった。だが、こんな炎天下の労働は熱中症の危険がある。そこで対策、はげ頭に保冷剤をおいて帽子をかぶる。首にも凍らせた保冷剤をタオルにくるんで巻き付ける。やかんいっぱいの氷水を日陰におく。準備完了、いざ作業をはじめてみるとこれが予想以上に暑い。保冷剤などすぐにとけてあたたまり、頭と首に湯たんぽをあてたみたいなことになる。頭のてっぺんから滝の汗がしたたり全身汗まみれ、予想以上の重労働だ。時折やかんの口をくわえるが、氷水はもはやぬるま湯である。たおれて老人の干物にならぬよう、とにかく水分を補給する。ようやくかき集めた雑草の大袋を三個つくり、半日がかりの重労働から辛うじて生還をはたす、ああしんどバッドの冒険。シャワーを浴びる。一息ついたら夕飯づくり、へなへなと老人キッチンに立つ。今夜も食わねばへらぬキュウリがある。セロリ、にんじん、きくらげと中華風に炒め合わせ、古いレシピ本が役にたつ。もう一品、冷凍庫の鶏むね肉をチンで解凍、そぎ切りにして塩こしょう、メリケン粉をはたいてソテ。これは疲労回復に効くとNHKのあさイチでいうとった。そこへ夕べ食べ残したえびキュウリと古いパン。こんなもんで明日も生きてるやろか。
by mizzo301 | 2012-07-11 16:32 | エッセイ | Comments(0)

またちぐはぐな食卓

d0087054_2245040.jpg
 
 ご近所の畑でとれたという、立派なキュウリ、なすび、トマトをいただいた。なかでもキュウリは圧巻で、その太さの直径は5,6センチ、長さは30センチ以上、好き勝手に曲がりくねり、表面はさわるといたいイボにおおわれた鬼のようなつらがまえ。スーパーのやわなキュウリを見なれた主婦など、恐怖をいだくかもしれない。それを他の野菜といっしょに、6本もレジ袋に入れてくださっている。新鮮なうちにいただきたいが、朝食のサラダだけではとても消費しきれない。ならばと古い中華のレシピ本をみて、キュウリと海老の炒め物をつくってみた。夏向きのさっぱりした一品ではあるが、晩飯がこれだけじゃさびしい。例によって冷蔵庫のあり物から、紀州産カマスの開きを焼く。さらに和歌山のモロッコインゲンを軽くゆでて、しょうゆマヨネーズをそえる。たれ付き三陸産めかぶ、夕方焼き上がったパンをひと切れ。今夜もトンチンカンな夕食ではある。だが、あっさりキュウリと、プリンとした海老の食感はなかなかいい。娘の友人数人を相手に、十数皿の中華料理をふるまった昔を思い出してなつかしかった。ひとり自分のめしを作るのはいかにもわびしいが、出来ぬよりは良とおもうべきか。
by mizzo301 | 2012-07-08 22:48 | エッセイ | Comments(2)