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<   2010年 09月 ( 5 )   > この月の画像一覧

クモの巣

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 日に何度も通る物置の出入り口に、ジョロウグモの大きな巣がある。その高さが絶妙で、あと一センチも低いと、その下をくぐるOpaの帽子にあたりそうな位置にありながら、もう何日もその場で無事に張りめぐらしたままでいる。巣の架設は、それを破壊からまもる緻密な計算のもとになされているようだ。帽子を脱ぎ、小さな脚立を立てて巣をまぢかにのぞいて見た。脱帽は、帽子のつばなどで巣を破らない用心のためである。主のクモは巣の中心にいて、動く気配はまるでない。見学は無料、ご自由にということらしい。クモの巣などめずらしくはないが、こうしてまじまじと見るのは初めてである。それは放射状に張られた縦糸に、数本づつまとまった横糸で精緻に編まれていて、まるでオーケストラスコアの五線紙にそっくりなのである。ジョロウグモがこの家のCDや、Opaのへたなバイオリンを聴いているうちに、この巣のデザインを思いついたのだろうか。だとしたら、なかなか芸術家肌のクモではある。だがこの巣に、なんらかの獲物がかかっているのを、Opaはまだ見たことがない。きみ、芸術ではめしは食えないんだよ。
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by mizzo301 | 2010-09-28 18:05 | エッセイ | Comments(1)

夢の不動産

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 むし暑い一夜が明けて、朝からいっときのはげしい雷雨。あとは昨日とうって変わって冷たい秋の風、こうも天候が急変するものか。昨夜もし晴れたなら、庭に蚊取り線香をたいてアイスコーヒーと月餅で月見をするはずであった。あいにくの曇天でそれはかなわなかったが、それでも雲間から中秋の名月がちょいと顔をのぞかせるサービスを二階の窓から楽しんだ。どうして月に心ひかれるのか、それは自分にもわからない。月の満ち欠けと干潮満潮の関係は自然の摂理であるが、出産や自殺他殺、交通事故の多発など、それは人の生理にも影響をあたえるとも聞く。ほんとうなら不思議なことである。だがそれにもまして不思議なのは、その月の土地を買えるというのである。販売元は米国のルナ・エンバシー社、日本円で二千七百円を払えば、月の土地権利書、月の憲法、月の地図をセットで送ってくるそうだ。ちなみに火星は三千円で同じセットが手に入るという。月と火星を両方買っても、わずか五千七百円で豪気な気分にしたれる設定である。だがその自分の土地へは、一生涯行けそうにない。ま、夢を買うということであるらしい。その金でOpaなら、夢より焼酎を五本買う。はずかしい年寄りである。
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by mizzo301 | 2010-09-23 17:37 | エッセイ | Comments(2)
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 海岸のハーブ園に、植えられたススキの群落がある。背丈が2メートル以上あって見るからにたくましく、この夏の猛暑のなかでも昂然として立ちつくしていた。秋の気配を少しは感じる今、穂先や茎は白くはなったが、それでもまっすぐに突っ立っている姿にかわりはない。本来のススキらしく、穂先が秋風にそよいだりしないのだ。かたわらの小さな立て札には、タカノハススキとある。毎朝その株のそばをドンと歩きながら、ススキがおいでおいでをしています、とつぶやいてしまう。小学校何年生の国語教科書だったろうか、習った一節である。タカノハススキにはいやみに聞こえるのか、さらに憤然と立っているように見える。町内の空き地では、見なれたススキたちが風にゆらいでいる。母手づくりのだんごとススキを供えたお月見、夢のような昔を思い出す。今年、中秋の名月は九月二十二日、晴れだといいな・・
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by mizzo301 | 2010-09-20 14:07 | エッセイ | Comments(1)

またスズメバチ・・

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 昨日の夕方、網戸とレースのカーテンにまとわりつくようにドンが暴れている。そのあたりで何やら羽音も聞こえる。開けっ放しの玄関ドアから入り込んだトンボやゴキブリ、カナブンなどにじゃれつく、いつもの遊びかと思っていた。突然ドンが、ヒーッヒーッヒーッとかん高い悲鳴をあげて玄関を転がるように飛び出し、タイル張りの地べたにうずくまってしまった。あわててドンの口を開いてみると、一ミリほどの黒い蜂の針が黄色い尻の一部と共に、すでに腫れだした下唇に刺さっている。すぐにそれをぬいてやるが、かなり痛いらしくヒーヒーと小さく泣いている。部屋ではカーテンと網戸にからまるようにして、大きなスズメバチがあばれている。おそるおそる網戸を開くと、力なげに外へはい出してうごめいていたが、ようやく最後の力をふりしぼるようにどこかへ飛び去った。ドンを車に乗せ、すぐ獣医師にみせる。ショック症状で危険な状態はまず一時間以内におこりますが、この分だとまず大丈夫でしょうといわれて、皮下注射を二本うってくださった。ひと安心、だがドンは痛みのせいか何も口にせず、いつもは大騒ぎをするTVの動物番組も、今はそれどころじゃないという顔でうずくまったきりである。一方スズメバチも、一度その毒針を使ってしまえば死ぬと聞いた。天空を飛ぶ羽を持ちながら、まさか犬にかまれて命を落とそうとは思わなかったはずだ。無念にちがいない。ひとり救われたのはOpaである。いつもならカーテンをひきガラス戸を開けて雨戸をしめる時刻である。この事故がなければOpaがスズメバチにやられていたことだろう。ドンが身代わりになってくれたとしか思えない。
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by mizzo301 | 2010-09-19 12:05 | エッセイ | Comments(1)

スズメバチの巣

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 床屋で散髪中の先客と理容師さんの会話をなんとなく聞いていた。その人は植木屋さんであるらしく、スズメバチに右手を刺されて病院へ行った帰りだという。スズメバチといえば、刺されてショック死をする人もあるおそろしい蜂ではないか。だがその人は、右手の包帯をさほど気にするでもなく平然としていう。今年は台風は来んよ、だって。なんでも、スズメバチの巣が高い所にあると、その年はその地方に台風が来ないのだそうである。職業柄、スズメバチに刺されたのは初めてではないらしく、それより巣の高さによる台風情報が大事みたいな口ぶりである。植木屋さんたのもしいと思った。
 スズメバチといえば十年ほど前のある朝、雨戸をあけていて気づいた。戸袋外側の上に徳利みたいな物がさかさにぶら下がっている。不思議には思ったがあまり気にかけずにいた。何日かたってそれを思いだし、あらためて見ておどろいた。徳利はいつの間にかまだら模様のバレーボールに成長していた。出入り口らしき穴があり、そこへスズメバチがしきりに訪ねてくる。おそろしや、徳利は工事が始まったばかりのスズメバチの巣であったのだ。市役所へ駆除依頼の電話をした。すると職員の身の安全上、市では対応しないとにべもない。代わりに駆除業者を紹介してくれた。翌朝、玄関にとまった軽ライトバンから宇宙服の男があらわれ、戸袋のバレーボールを大きなビニール袋にあっさりともぎとり、ついでにOpaの手から三万円をもぎとって消えた。あっという間の出来事であった。
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by mizzo301 | 2010-09-06 16:10 | エッセイ | Comments(2)