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<   2009年 11月 ( 4 )   > この月の画像一覧

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 立ってバイオリンをひきながら、足でページをくってマンガを読んでいた。バイオリニスト高嶋ちさ子さんがいつだったかテレビで語った子供時代である。別室で聞き耳を立てるお母さんに、いかにも真面目にお稽古しているように思わせる、ちさ子嬢の裏技である。なぬっ、マンガを読みながらでもバイオリンがひけるとな。ならばOpaのバイオリンに聞き耳を立てる人はいないけど、もし新聞を読みながらバイオリンがひけたら時間の節約になるぞとその時ひらめいた。試しにバイオリンをかまえて椅子に座り床に新聞を広げる。白内障手術のおかげで文字はなんなく読める。だがうつむき姿勢のままでバイオリンをひき続けるのはきつい。ついに左のひじとひざが合体。はたして考える人がバイオリンをひけるのか。思いのほか簡単だったのは足指で新聞をめくること。靴下をぬいだ右足の指で新聞紙の左下をつまみ上げると、ちょっとしわくちゃにはなるものの簡単にめくれる。マンガ本だとこう簡単にはいかないだろうな。だがこの試みはすぐに頓挫した。新聞を読むとバイオリンがおろそかになる。バイオリンをひこうとすれば新聞が読み取れない。なんといっても姿勢が苦しい。かといって立てば新聞が遠のいて文字が読めない。頭のやわらかい高嶋ちさ子さんの少女時代と同じことを、この年寄りにできるわけがないのだ。ちょっと考えればわかることであった。ベランダで風にひらめく隣家の洗濯物を、窓からポカーンとながめながらバイオリンをひく今までどおりが、やはりOpaにふさわしい練習法であるらしい。そんな矢先、さる高名の脳科学者がテレビで語るのを見た。手指などの運動は脳の活性化に効果が高いが、練習で上達して無意識のうちに手指が動くようになると脳は全く活性化しなくなるという。Opaバイオリンをいくら練習すれども、決して上達しない。安心である。
by mizzo301 | 2009-11-24 11:27 | エッセイ | Comments(0)

人は猫を裁けるか

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 「猫をいつから飼ってるの」といきなりご近所にいわれて面食らった。猫は飼っていないのに妙なことをいう。北海道旅行の留守中、ベランダの日だまりにいつも黒い猫が我が物顔に寝そべっていたというのである。野良猫か近所の飼い猫かはわからないが、Opaんちの猫ではない。だがそれで思い当たるのは、今までに何度かあった金魚の失踪や不可解な死にようである。さてはその猫の犯行であったかと直感したのだが、証拠はない。次にベランダに現れたら、せめて不法侵入の証拠写真をとってやろうと待ちかまえているがその後とんと姿をみせない。そういえば裏庭のブロック塀を猫が歩いていたことがあると家人が言う。金魚の睡蓮鉢に近い。ますますあやしい。だがそれがいつだったか、黒い猫だったかと問いただすと記憶があやしくなる。黒猫ではなかったような気がするなどという。もしそうなら我が家には、主の許可なく複数の猫が出入りしていることになる。金魚失踪変死事件も複数回である。それぞれの事犯に関与したのは同一猫か別猫かという問題がここに浮上する。証言は猫を見たというだけで、事件の目撃者はいない。ゆえに真犯人を猫と断定する根拠はない。よしんば猫たちを拘束できてもその尋問はにゃんともむつかしい。たとえ猫であっても誤認逮捕でのえん罪はゆるされない。検事長Opaはこのところ悩んでいるZzz・・・
by mizzo301 | 2009-11-13 12:28 | エッセイ | Comments(0)

小さきものよ

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 睡蓮鉢の金魚がついに絶滅した。旅からもどって雨戸を開くと鉢に魚の姿はなく、ポンプの泡に水草がむなしくゆらいでいる。かたわらの棕櫚竹の根方に、なにやら赤いものがある。よく見るとそれは、台風のあと1尾で孤独をかこっていた、最後の金魚のむくろであった。すでに息絶えているものの、赤い魚体のどこにも疵はなく、黒い目玉は生きているときそのままである。留守をした四日間のいつの事かはわからないが、死後そう遠くはなさそうである。その間に水があふれるほどの大雨はない。自分で飛び出したにしては、睡蓮鉢から離れすぎている。何者かが鉢からすくいだして捨てたとも考えにくい。金魚変死のなぞは深い。小さな金魚が百尾の団体を組んで、神戸から我が家へやって来たのは'07年9月23日であった。集団就職である。まだ若い彼らは旅の疲れも見せず、嬉々としているかにみえた。だがその時はその後、Opaの無知と不注意から自分たちが思いもよらぬ運命をたどるとはだれ1尾として知らなかった。はたしてある時は酸素不足にあえぎ、あるいはメジロの糞にまみれ、野良猫の魔手におびえて過ごすことおよそ二年と一ヶ月、最初はにぎやかだった睡蓮鉢から小さな命がつぎつぎと消えていく。ついに'09年10月16日最後の金魚の孤独死、そして誰もいなくなった。
by mizzo301 | 2009-11-06 11:26 | エッセイ | Comments(0)

ドンよ!

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 北海道へは犬を預けて出かけた。ドンにとって初めての単独四夜の外泊である。馴染みのトリマーさんに頼んだ。そのおねえさんを大好きなドンは、いつものシャンプーですぐに帰れるものと思ってか、出発前日の午後おそく迎えの車で嬉々として連れ帰られた。はたして夜になっても家へ帰れる気配がない。次の日もその次の日も、なれない場所での独り寝が続く。すぐ翌朝から餌も口にせぬままであったという。自分はもう飼い主に捨てられたのかと、心配と落胆で食欲どころではなかったらしい。五日目の夜、トリマーさんに抱かれて帰ってきたドンはあきらかにやせていた。Opaを見てきょとんしている。ことの成り行きをとっさに理解できないでいる。次の瞬間しっぽをちぎれんばかりに振りながらOpaの胸に飛び込んで顔中をなめまわす。さらにはげ頭にまでよじ登ってぺろりぺろり。ワフワフとよろこびの声をあげながら、 家中を狂ったように駆け回り人にまとわりつく。部屋を飛び出しては駆け戻る。ソファから椅子へ、椅子から人へと飛び跳ねる。ワフワフッワフワフッ、捨てられたんじゃなかった!このよろこびをどう表そう。それは、ドンが我が家に来て初めて見せた狂喜乱舞であった。
by mizzo301 | 2009-11-03 12:20 | エッセイ | Comments(1)