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<   2008年 03月 ( 5 )   > この月の画像一覧

舌平目がうまい!

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 泉州沖は舌平目の宝庫である。高級魚といわれる舌平目だが、豊漁のこのあたりでその面影はない。それでも赤舌平目はやや珍重されるが、黒舌平目となると丸で下魚扱いである。ムニエルなどにはむしろ身の固い黒の方が向いているというのにである。舌平目のムニエルといえばドーバーソールを使うフランス料理でしょう。何でもフランスではドーバーソールと英語では呼ばないらしい。おまけに日本産と違い、カレイのように目が右にあるそうだ。これじゃ舌平目ではなく舌カレイである。だが昔、海のないスイスのチューリッヒで食ったそれは、今もそのニンニク風味を思い出すほどにうまかった。
 今はすぐ手に入る泉州の新鮮な赤舌平目である。ナイフを入れた口先から表の皮を引きはがす。裏のうろこを落とし、ナイフを斜に入れて頭と腹、尾を落とす。さらに左右のエンペラをじょりじょりとそぐ。塩こしょう、小麦粉を軽く振りまぶし、たっぷりとニンニクをきかせたオリーブオイルでこんがりとソテー、レモンを添えれば、舌平目の簡単ムニエル泉南風の出来上がり。絶対うまい、どなたにもお奨め、白ワインがよく合います。
 当地では煮付けで食う人が多いようだが、これの一夜干しがまたうまい。ならば作ろうと、腸を抜いて濃い塩水をくぐらせ針金に通して軒につるした。クリーニング屋のハンガーにぶら下がって春風に揺られる舌平目たち、その眺めはいかにものどかである。一夜干しのつもりが二夜三夜、泉南の風景を楽しむこと十日以上、食べ頃をとっくに過ぎた舌平目たちが、草加せんべいほどに堅くなって風に揺らいでいる。こいつはとても老人には歯がたたない。とりあえず野菜室に冷蔵。そこへうまく奈良の人、魚大好きの田原先生ご夫妻がみえた。こいつはあぶって食うとうまいですよとカモミールティーを飲みながら話すと、喜んでお持ち帰りくださった。作戦成功、だが先生ご夫妻もそうお若くはない。お二人の歯は大丈夫かとちょっと心配である。
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by mizzo301 | 2008-03-30 18:54 | エッセイ | Comments(1)

春はあけぼの

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 春はあけぼの、必ず小便に起きる。春眠暁を覚えずといえども、生理現象には抗えない。再びベッドに潜って二度寝をする。うっかりするとそのまま昼まで寝る。春眠まさに時を覚えずである。年寄りは眠れないというが、どこの年寄りのことだろう、Opaはいくらでも眠れるのである。年金生活で起きて金を使わぬように、防御本能が働くのかもしれない。
 子供の頃、尿意を無視して寝続けると夢を見る。大抵は野原で立ちションをしている。やがて腰まで水没しそうになって目が覚めると、布団に世界地図が完成しているのであった。秘密の地図を発見した母親の悲鳴が聞こえて、身の縮まる思いをしたものだ。
 昨夜危険な夢を見た。夢の中で何度も小便をするのである。駅のトイレあり猥雑な旅館のトイレあり、トイレのはしごをして頻りに放尿する。なのにいつまでも残尿感があってすっきりしない。しかも夢の中で夢を見ていて、これは目覚めるととんでもない事になっていはしないかと恐れている。目覚めが怖い。ところがふと目覚めてみると以外や事態は無事、ただ膀胱は破裂寸前、寝ぼけ眼でトイレへ飛び込んだ。老人夢中の分別とでもいうべきか。もしその夢を見続けていたら、ついには海底二万海里を夢見て、布団に大航海地図を描いていたかも知れない。年甲斐もなく寝小便の恥はかかなくてすんだが、キャプテンクックも驚く偉大な海図を後世に残せなかったのは残念である。
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by mizzo301 | 2008-03-24 12:17 | エッセイ | Comments(0)

唐突に春が来て・・

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  先週の寒さが嘘のような暖かい朝である。日当たりの良い隣家の庭木でメジロが頻りに鳴き交わしている。その声に急かされて、Opaもガルテンアルバイトに重い腰を上げた。僅かに実ったレモンを取り入れ、剪定をする。暮れから放り出したままのプランターを返し、古い土を日光消毒。ふと見ると、早くもアスパラガスが一本顔をのぞかせている。枯れたかと思っていた鉢植えの木瓜にも、小さな蕾がいっぱいふくらみ始めている。唐突にやって来た驚くばかりの春の陽気である。
 その日の午後、大正生まれの義母が、春のこの日を待ち望んでいたかのように艱難の人生を全うした。アルターハイムでの静かな死である。昨年末から覚悟の上とはいえ、やはり最後の別れである。「・・おおよそはかなきものは、この世の始中終、まぼろしのごとくなる一期なり ・・」蓮如上人のお文も、あまり凡俗の慰めにはならぬ。午後の日差しの中で、相変わらず鳴き交わすメジロを聞きながら、無常を思う春の一日であった。
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by mizzo301 | 2008-03-16 16:52 | エッセイ | Comments(0)

長引く風邪に芋焼酎

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 風邪を長引かせてしまった。節分に襲われた腰痛と下痢を伴う風邪が治りきっていなかったのかも知れない。微熱で頭痛、咳、くしゃみ、痰、涙、水洟に青洟、関節痛に筋肉痛、風邪の症状総動員でいじめてくれる。たまりかねてお医者へ行った。先ずお口アーン、喉が真っ赤ですなあ。聴診器を胸と背中に当てた後、胸をトントン背中コンコン、甘い水薬と錠剤3種をもらった。これを飲んで安静とのご託宣くだる。わかりましたと答えて帰宅、早速その夜の飲み会へ出かけた。無謀かも知れぬが、抜けられない会が男にはあるのである。男はつらいよ、なあ寅さん。出席しても飲まなければいいのである。河内の居酒屋に全員集合、お医者の薬が効いたかして、幸い咳もくしゃみも止まっている。その隙にお湯割り焼酎を一杯だけ・・。健康を祝してカンパーイ?!一杯が二杯、二杯が三杯、えーいままよ後は芋焼酎の無限等差数列。目覚めてみれば翌日の正午自分のベッドである。当然風邪が好転するわけはない、ゲホゲホ。不思議と頭はすっきりしている。持って出た本と財布がちゃんと机上にある。二日酔いではないが記憶もない。夕べ皆さんに不愉快な思いをさせなかったかと気になる。電話で尋ねる訳にもいかず、慚愧に堪えぬ思いである。思えばそんなことを百万遍繰り返す、恥ずかしい人生であった。ならばいっそ酒を断てばいいのだが、意志薄弱なのか強固なのかそればかりは出来かねる。知らぬ間に家に帰って寝ているのも不思議である。Opaの未読ノートに二人の著名な脳科学者共著「記憶がなくなるまで飲んでもなぜ家にたどり着けるのか」ダイアモンド社刊がある。早速買って読まなくちゃ・・。
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by mizzo301 | 2008-03-08 12:46 | エッセイ | Comments(0)

句集「冬の虹」

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 俳人の藤原藤さんから句集「冬の虹」をお送りいただいた。表紙カバー上部に虹をあしらった美しい本である。ひと月の間枕頭に置いて楽しませていただいた。僅か十七音で繰り広げられる詩の世界から、そのまま夢の世界に紛れ込む仕掛けである。そのせいで身体の下敷きになった老眼鏡のツルを何度もへし曲げた。俳句は次元の異なる二つの事象の取り合わせで成り立つと、どこかで教わったおぼろげな記憶、なるほど紅梅と蝋の色をした昼の月、俗と超俗の対置、反比例で成り立つピタゴラスの音律さながらに響きあう。いや待て、後者は大正生まれの俳人藤さんの心の静謐そのままであろうか。ド素人の勝手な深読みに睡魔がまとわりつく。はたしてその夜も眼鏡のツルをへし曲げた。
 白状すると、この句集を初めから全部すんなりと読み下せたわけではない。恥ずかしながら読めぬ語句や文字にしばしば当惑し、古い歳時記を頼り、ATOK版広辞苑を繰ってようやく全編を読めたのである。浅学は悲しい。藤さんの仰る心の冬の虹にいつの日か逢いたいものである。
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by mizzo301 | 2008-03-04 11:38 | エッセイ | Comments(0)