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2019年 06月 08日 ( 1 )

蜘蛛その後

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 ゴミ箱のふた裏に住む黒い蜘蛛は、妊婦ではなかったらしい。お腹が日によってふくらんでいたり、スリムだったりする。なぜかはわからない。ある晩、ゴミ箱をあけたら蜘蛛が見あたらない。懐中電灯でふたの周辺やゴミの表面をさがしたがどこにも見あたらない。さては手狭なふたの裏に嫌気がさして、もっと快適な新居を求めて出て行ってしまったのかと思った。ところが翌朝、ゴミ箱を開くといつものところにうずくまっている。昼間いつ見てもその場所にいて、うす綿のような巣の下を数センチ移動する。その晩、気になってふたの裏を見るとやはり蜘蛛は居ない。日中はうす綿の巣に暮らし、夜な夜な出かけるらしい。ゴミの中にもぐるのか、ゴミ箱の外にまで出かけるのかはわからない。ある朝、ふたの巣を見ると彼女はいた。それだけではない。その1センチほどの鼻先に、うす綿の巣の下で小さなハエが羽根をふるわせている。夜に捕獲したのを巣にひきずりこんだのだろうか。彼女の朝食はハエの生食、翌朝見ると、あわれなハエのわずかな食べかすが巣にあった。夜の徘徊はどうやら食料調達が目的であるらしい。なんの因果かまっ黒で気味の悪いこの蜘蛛を、毎日ながめて何がおもしろい。会者定離、追い出す理由がない。

by mizzo301 | 2019-06-08 17:06 | エッセイ | Comments(6)