美術史美術館にて
2009年 05月 04日
古楽器コレクションのある王宮からリンクをへだてた美術史美術館へと、芸術品鑑賞のはしごである。なにせウィーン滞在はこの午後半日だけ、エッサホイサ・・。美術館鑑賞は足が疲れる。ここはそれに配慮して、大作の広間にはどの部屋にも大きなソファーがしつらえてある。人は好きな絵をソファーにかけながら、心ゆくまで眺めていればよい。かけたまま居眠りする人もたまにいる。入館者は多いが、ゆったりとした館内が混雑することはない。吹き抜けのドームを囲む広いカフェでは、クリームたっぷりのウィーン風コーヒー、アインシュペナーも楽しめる。日本の美術展にこののんびりおっとりとした雰囲気はのぞめない。そう思えば、ここの入場料10ユーロは実に安い。「英語おわかりですか。背中のザックをどうぞ前にしてお持ちください。盗難のおそれがありますので・・」と巡回の男性館員に声をかけられる。のんびりばかりでもいけないらしい。ブリューゲルの大作「バベルの塔」を眼鏡をかけた中年の女性画家が模写している。本物からほんの2メートルの距離にキャンバスを立て、左手のパレットにたっぷりと絵の具がとかれている。キャンバスの真ん中に竹の棒をぶら下げて、塔の傾斜を測っている。日本なら、国宝級の絵の前でこんなことが許可されるだろうかと思った。どの絵も描かれて何百年を経たとは思えない色づかい。Tさん別の大作「農民の婚礼」の前でしきりに感心している。「たいしたもんや・・たいしたもんや・・」彼が前に立つと絵がまたひとしきり大きくなる。不思議である。
by mizzo301
| 2009-05-04 10:27
| エッセイ
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