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つくつく法師の頃

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 朝夕すっかり涼しくなった。十月八日頃を寒露というそうだ。そんな朝、季節外れのつくつく法師が鳴いている。秋菊の庭にたったひとり、ツクツクオーシと声をはげましている。その蝉の孤独を思って、励ましてやりたい気分である。つくつく法師を聞くと必ず子供の頃の夏を思い出す。この蝉の盛期はお盆明けからである。朝の六時頃、丸で機械のスイッチが入れられたかのように、一斉に騒ぎ出す。ジジジッと音程をせり上げ、ツクツクツクッと前ぶれがあってようやくツクツクオーシと歌い出す。ひとしきり歌い終わると、ツクイーヨツクイーヨと歌を変え、ジジジジッと音程をずり下げて終わる。彼らの歌い方は複雑で、ミーンミンミンと餃子の宣伝を繰り返すミンミン蝉や熊蝉など他の蝉たちとはひと味ちがってよく目立つのである。いや、耳立つというべきか。雑木林から聞こえるつくつく法師の大合唱はまた、子供達に夏休みの終わりが近いと教える歌でもあった。Opaなど小学生時代は、この声を聞くと、ほとんど手つかずの宿題を前に毎年絶望していたものである。結局宿題はせずじまいで登校、破局の新学期を迎えたことも何度かあったはずである。さてそれでどうなったのか。今も自分に都合の悪いことは、すぐにすっかり忘れてしまうのは、どうやらOpa子供時代におぼえた特技であるらしい。
by mizzo301 | 2008-10-09 15:40 | エッセイ | Comments(0)