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Opaの日々雑感


by mizzo301
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読書の秋というけれど

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 読書の秋といいたいが、積ん読の小山がなかなか征服出来ない。その上新聞の書評や広告からの書名がメモに満載。先年癌で亡くなったロシア語の米原万里さんは、日に四冊は読むと自著の中でいっておられる。また、さる評論家氏は日に十二三冊は読むという。さらに発刊される新書は全部読むと、TVで語る弁護士さんもいた。驚異の読書量である。いずれも多忙を極める人たちである。どうしてそんなに読めるのか不思議である。Opaとて面白さに取り憑かれ、結構分厚い本を一日で読み切った事は何度かあるが、なにせこちらは閑人である。その閑人が食う出す以外何も手つかず、本の虫になってようやくの日に一冊である。どないしたらそんなに本が読めるねん?
 とりあえず午前中の一時間は本を読む。Opa即製のオープンカフェテラスでアイスコーヒーを啜りながらの読書である。今夏は東洋文庫の「蕃談」が面白かった。これとて書架で長年大あくびをしていた本である。幕末、太平洋で難破した越前の船乗り達が、米国の捕鯨船に救われ、ロシアの船で択捉へ送り届けられるまで、足かけ五年に及ぶ聞き書きの記録である。その数奇な体験談もさることながら、その間も彼らが陰暦で日を数え続けていたことに驚かされる。漂流以来隔月に大小の月を置き、月の満ち欠けで日を考え合わせ、三年目には閏月を加え、彼らの宗旨、一向宗の開祖や親の命日にはお勤めを怠らなかったという。帰国択捉上陸の日は天保十四年五月二十三日であるが、それを彼らは二十四日と思いこんでいた。五年で僅か一日の誤差である。たった一週間でも、曜日がこんがらがるOpaには信じがたい正確さである。さらに彼らはほとんど無筆の人たちである。学ぶとは何かを考えさせられる読書であった。
by mizzo301 | 2008-09-05 16:27 | エッセイ | Comments(0)