Opaの日々雑感


by mizzo301
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

新世界と串カツ

d0087054_1159175.jpg

 よく行く電器の街、日本橋から通天閣がよく見える。その麓一帯は新世界、大阪第一級の下町である。じゃんじゃん町はその中にあって、ひときわ賑わう通りである。今から五十年も昔は、串カツ屋やぜんざい屋など飲食店が軒を連ね、将棋の倶楽部などもあって狭い通りは人で溢れていたものだ。学生時代には一本4円の串カツを食いによく行った。熱々の串カツを、バットの二度づけお断りソースにどぶりと浸してほおばる。串を引っ張ると大きな衣が口に残り、串にしがみついた紐のような肉片が姿を現す。
 「おっさん、これ何の肉や?」「猫や」「そうかあ、猫うまいなあ」「今度犬も揚げ るさかいまた来てや」
 客と店の親父が顔色ひとつ変えずにそんな会話を交わす。満員の他の客も平気な顔で串カツをほおばり、サービスのキャベツをつまんでいる。まさか猫や犬を本当に食わせるわけはない。串にしがみついている紐は牛肉に違いないのである。だが会話にそんなフォローは一切ない。これが大阪である、いや、あったというべきか。
 じゃりん子チエや、TVドラマ「ふたりっこ」のお陰で、新世界や通天閣が今や全国に知られているらしい。昔ほどの賑わいはないというが、関東の若い人達が通天閣に登り、じゃんじゃん町の串カツを食うためにわざわざ来阪するという。時には新世界見物を修学旅行のコースに組み込んだりもするそうだ。まさか団体で串カツ屋には入るまいなあ。いやあ、久しぶりにじゃんじゃん町の串カツを食べたくなった。相変わらず串には紐のような肉がしがみついているのだろうか。バットに溢れる二度づけお断りソースや、無料キャベツは今も健在なのだろうか。あれもこれもが懐かしい。だが今や客と店の親父の間で「おっさんこれ何の肉や」「猫や」などという会話が成立しないであろうことだけは、行ってみなくてもわかる。大阪色が薄くなるのはちょっぴり淋しい。
[PR]
by mizzo301 | 2007-10-31 11:59 | エッセイ | Comments(0)