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Opaの日々雑感


by mizzo301
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深まる老い、老犬ドン

深まる老い、老犬ドン_d0087054_1232723.jpg

 老犬ドンが一人で立ち上がれない。五日前の突然のことである。寝床にうつ伏したまま小便を垂れ流している。軽い身体を持ち上げてやるが、四肢を開いて座ることもできない。口元に置いた水をなめようとするが、餌を食べる気力も無さそうである。18歳といえば人の90歳にもなるのだろうか。いよいよかと心を決めて、その夜は階下の板の間で添い寝をしてやった。昨年死んだハナのように、Opaの知らぬ間に死なれては困る。広くもない庭には、三十数年すでにいくつか犬の骸が埋まっている。さて今度はどこに埋めたものかと思案する内に眠りに落ちる。これじゃ添い寝をしても、最後を看取るなんてできやしない。芋焼酎のせいである。翌朝、身体の節々の痛みで目が覚めた。あわててドンを見ると、身体が呼吸をしている。酔っぱらいの大いびきで、うるさくて死にきれなかったのだろう。うつ伏したままの腹は寝小便にまみれ、尻の脇に転がる親指ほどのうんちが、大きさの割に強い芳香を放っている。臭い臭い、生きるというメッセージはこんなに臭いものか。Opaは思わず安堵の臭い深呼吸をした。その朝は相変わらずうつ伏したままではあるが、水を飲み少量ながら朝食を食べた。
 その後もほとんどうつ伏せのまま大小便をし、居眠りをしている。だが上体を持ち上げると前足を持ちこたえてしばらくは座れるようになった。昨日、試しに庭でそっと立たせてみた。落ちる腰を何度も支える内に、しばらく立つまでになる。そして今朝は、よろめき倒れながら庭を歩いている。わが介護老犬のリハビリはいつまで続くのだろう。いずれそう長い余生は期待できまいが、墓穴の心配はまだ早いのかもしれない。物言わぬ生き物が年をとると、同居人の気苦労も多いのである。
by mizzo301 | 2007-10-07 12:32 | エッセイ | Comments(0)