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Opaの日々雑感


by mizzo301
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COSMETIC EXPRESS

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電車の横長シート、真ん前に若い女性、やや細面、爽やかな面立ちである。
長いダークブラウンの髪がカールしながら背中にまで流れている。
Opaじろじろと見たりはしない。本に目を落としながらのさりげない観察だ。
オーケストラのバイオリン奏者が、譜面を追いながら視野に指揮者の動きをとらえている、あの要領だ。
美女、バッグから化粧ポーチと鏡を取り出す。
電車で化粧は今や若い娘の常識か。
鏡を持つ左手の指に筆ペンみたいなのを器用に四本も挟む。
通勤時間帯ではない、これからデートでもあろうか。
右手で手早く筆ペンを取っ替え引っ替え、顔面パーツを装飾していく。
わけても目の周辺は大事であるらしい、一本の筆ペンで隈取りが入る。
さらに瞼に青いマジック、綿棒現る、縁取り修正。
バリカンの孫みたいなので両眼カシャカシャ、睫毛ぱっちり。
さらにバリカン、さらに綿棒、唇ぱくぱく、電車はカタコト・・。
爽やかな美女、今見事浮世絵写楽風に変貌、がっかり・・。
さらに鏡の出番、次の課題は髪の毛だ。
綺麗な髪の幾分かを背中から前にかき寄せ、顔三分ほどを覆ってみたり開いてみたり、赤いジャケットの胸元でカールの位置をしきりに修正。
それらの動作は終着駅まで倦かずに繰り返された。
Opaの薄い頭の真ん前で、いかにもこれ見よがしだと思った。
by mizzo301 | 2006-11-30 18:40 | エッセイ | Comments(0)