雨だれの音かなし
2018年 05月 12日
早朝ふと目ざめて聞く、軒端をうつ雨だれの音ほどかなしいものはない。それはドンとの雨中散歩をしきりにうながす合図なのである。雨が降ろうと槍が降ろうと、歩かないとドンは排泄をしない。眠い目をこすりながら彼に雨合羽を着せ、時にはOpaも合羽あるいは雨傘にゴム長を着用、降りしきる雨のなかを行く。朝夕二度の散歩は欠かせない。晴天ならまだしも、悪天候だと腰痛老人にはつらい所行となる。おまけに雨の日のうんちはすばやく拾わないと溶解する。左手に傘とリードを持ち、しゃがみ込んで右手でその作業を行い、ポリ袋の口を固くゆわえる。それでも無事に排泄を見届けるとホッとする。雨合羽といっても不完全なものだから、ドンはほとんどびしょ濡れになる。それを帰ってバスタオルでねんごろに拭くのがまた大変である。Opaにはひたすら忍の一字の雨中散歩だが、ドンは一言の不平もいわずに歩き続ける。我が仔ながら見上げた犬である。梅雨入りもそう遠くはない。Opaにとっては悪夢のような季節であるが、雨にも負けず風にも負けずのドンには、宮沢賢治賞として、フィッシュソーセージ10本を贈呈してやりたい。
by mizzo301
| 2018-05-12 19:09
| エッセイ
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