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非情城市いずこ

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 九份の街は、戦後の台湾をおそった苦難を淡々と描いた映画、非情城市の舞台である。作中、料理店を営む一族が、店の前で記念写真をとる場面があった。Opaの脳裏に染みついたその場所が、今はどんなたたずまいなのかを見たかった。着いたのは夕暮れ時、狭い坂道と階段の街を無数の紅灯がいろどるころ合いである。ところが予想以上の人の波に押し流されるばかり、ついにはある階段の通りでその流れもぴたりと止まり、さらにうしろから人が押し寄せる。前方の様子がかいもくわからない不安、一抹の恐怖すらおぼえる。立錐の余地もない人いきれの中で、杖にすがるOpaの足腰に限界が近づく。もうロケ地見学どころではない。這々の体で人をかきわけ、引き返す。いさぎよくOpa一族退却である。ようやくひどい人混みをぬけ出して、ちょうど目の前にあった古めかしい茶館に入る。外の喧噪をよそに、落ち着いたその店内の雰囲気には心底ほっとした。眼下に港の夜景を見はるかすテラスに腰をおろし、店の人にすすめられた烏龍茶はうまかった。おかげで目的半ばとはいえ、心おだやかに車上の人となり、この後の晩餐のメニューや酒をあれこれ思いながら台北へと向かうのだった。
by mizzo301 | 2017-04-14 18:06 | エッセイ | Comments(0)