うら庭のかえで
2014年 12月 30日
この秋は足腰の痛みで、紅葉を目当てに散策しようという気にもなれなかった。近い古刹根来寺はいまごろ見ごろだろうかと想像するのだが、紅葉におおわれた境内の小径も、その起伏を思うと不安になる。昨年は右足腰、それがかなり回復したと思ったら今度は左が痛み出した。痛くて思うように歩けないのは不便である。ドンの短い散歩も、近所の畑に立てかけられたはしごによりかかったり、石垣に腰掛けて一服しながらでないとはたせない。足腰には自信があった。現役時代、早朝の海岸沿いに隣町の漁港までおよそ5キロ、帰りは国道から古い集落に入ってほぼ同じ距離を往復していた。何年も同じコースを早足で歩いたが、Opaの老後には役立たなかった。鍛えるというただの思いこみであった。現実は人体の想定外をいかにやり過ごすかである。てなわけで名勝古刹の紅葉を愛でる機会はなかった。そのおかげというべきか、リビングのOpaいすに座ったままで見る、うら庭にうらさびれて立つ一本のかえでの紅葉を、こんなにきれいだと思ったのは初めてであった。
by mizzo301
| 2014-12-30 23:03
| エッセイ
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