Opaの日々雑感


by mizzo301
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蜘蛛のこと

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 脚が癒えず、まだ杖で歩いていた初夏の頃、庭先のテント下でコーヒーをすすりながら新聞を読んでいた。ふと目を上げると、卯木の枝と物干しの支柱に小ぶりの女郎蜘蛛が巣をかけている。いったん目にするとそれが気になって、毎朝視線がそちらにいく。何日も眺めていたある朝、その蜘蛛がなんだか少し大きくなったような気がした。本人から少しはなれた巣の一隅に、もう一匹の蜘蛛がゆらいでいるように見えたが、それは抜け殻のようなもので生きてはいない。はたして蜘蛛は脱皮をするのだろうか。そうして成長するものなのか、Opaは知らない。とりあえず蜘蛛は成長を遂げた。といってもまだ若い蜘蛛である。その巣に獲物がかかっているのをみたことがない。ひと月あまりも何も食べずに生きているのだろうか。それともOpaの目をぬすんで、何らかの間食にはげんでいるのだろうか、わからぬうちに日が過ぎた。そうして7月にはいったある朝、その巣に獲物があるのをOpaは初めて見た。蜘蛛の糸にくるまれた蠅らしきものが、巣にはりついている。巣の主はどんと中心に陣どって動かない。蜘蛛の食事風景を見れるかもしれないと、痛い右脚をさすりながら幾日も待ったが、いっこうにその気配はない。これは来るべき子育てのための備蓄なのか、あるいは何かの記念日のごちそうだろうかなどとOpaは考えた。そんなある日、娘夫婦が来た。夕方、脚の不自由なOpaにかわって、婿が庭に水をまいている。 終わった頃を見はからい、蚊取り線香を手に庭にでた。はたして蜘蛛の巣は下半分になって、水滴が光っている。例の獲物はそのままだ。無惨に破れた巣に女郎蜘蛛の姿はない。突然の水勢にあわてて、とるものもとりあえず出奔したらしい。きっと彼女は帰って、破れた巣を修復するだろうと考えてOpaは待った。だが蜘蛛は帰らなかった。
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by mizzo301 | 2013-08-14 22:32 | エッセイ | Comments(0)