オーロラ風邪
2013年 02月 25日
ノルウエーの船上で屁のようなオーロラを見せられて、すっかり風邪をひいてしまった。その前にフィンランドの北の町サーリセルカで、夜の雪道をペンギンの行進よろしく暗闇を求め、寒さに耐えながら北の空をながめて待つこと二晩、何の不思議もあらわれず。さらにバスでノルウエー国境を越えて北上、北極海の港キルケネスから乗船した船である。ベルゲンまで5泊6日の航海で、あわよくばオーロラが見えるという。バイオリン屋にだまされた。寒さによわいOpaである。船室でぬくぬくとしながらオーロラが見えるというから来てやったのだ。何のことはない。夜ともなれば防寒具をまとい、寒風吹きすさぶ上甲板であてどもなくオーロラを待つのである。やってられん。ひとり部屋で寝ていると突然オーロラ発現の船内放送、見えるなら見てみたい。飛び起きて防寒具をまといエレベーターをせかせて上甲板へ、そこは暗闇にうごめく黒山の人だかり。みんな寒風に耐えながらはるか海上にたなびく白雲をながめている。よく見ると雲の端でほのかなグリーンがゆらめく。なんとその白雲をオーロラだというのだ。ちがうやろ、オーロラは彼方の空からおしよせる極彩色の光の束がうねりながら押し寄せ、渦を巻き、垂れ下がり、天空にくり広げられる一大絵巻であるはずだ。むかしのガス風呂の種火みたいなものを見せられて、オーロラといわれても合点がいかない。部屋に降りて寝るぞ、えーい、ハックショーン、風邪までひいてしまった。くしゃみと鼻水がとまらない。5階サロンのカフェスタンドに寄って、はなかみ用に紙ナプキンをだまって大量にいただく、本船運航のHURTIGRUTEN社に遅まきながら陳謝申し上げる。
by mizzo301
| 2013-02-25 15:53
| エッセイ
|
Comments(3)