アルファなムカデ
2011年 08月 17日
早朝、階下でドタドタと物音がする。いっしょに寝ていたドンが、いつの間にか下におりて何かにじゃれているらしい。起きるには早すぎる、気にせずにもう一眠り。つぎに目覚めた時、音はすでにやんでいた。下におりてみると、床にドンがうずくまって、目の前のα状のものに首をかしげている。ファスナーの切れ端かしら、とよく見るとムカデ、あの俊足はどこへやら、丸くなっている。ムカデのこんな姿はめずらしい。先ほどのドタドタは、ドンがムカデにじゃれついている音だったのだ。昨年はスズメバチ、今夏はムカデの毒に、と一瞬あわてたがドンは涼しい顔、どうやら無事らしい。無事でないのはムカデの方、ドンの毛むくじゃらに歯牙がおよばず、自分がのびてしまったらしい。てっきり死んだ物と思って、火ばさみでつまもうとしたら、あわてて背筋を伸ばし、百本足全速で逃げようとする。ぎょっとして強引につまみ上げ、下水溝のふたを開いてほうりこんだ。だが直後、ひねりつぶしておかなかったのが気になる。下水のパイプを伝って風呂場やトイレ、洗面所などに彼がふたたび無事なすがたを表さないかと思うのだ。その内トイレは、Opaの発射する毒ガスや爆弾に閉口して登れまい。風呂場と洗面所の監視をつとにおこたるべからず。犬の前で死んだふりのムカデ、熊の前でそれをする人間、人の知恵はせいぜいムカデなみやったんか。
by mizzo301
| 2011-08-17 21:20
| エッセイ
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