ミシンを買ったはいいけれど・・
2009年 09月 11日
ミシンを買った。子供のころからさわってみたかったあこがれの一品である。母が和裁の手内職をしていた我が家にミシンはなかったが、祖父母の家の若い叔母がミシンを踏んで縫い物をする姿はいかにも楽しそうに見えた。幼いOpaには当然さわらせてもらえない。こっそり踏み板をふんでみたり、動輪にふれたりで好奇心を満たすほかなかった。いつの日か思い切りミシンにふれてみたいと思ったのは、60余年のむかしである。今、スーパーの広場などで数台のミシンを置いて、説明販売をしているのを見かける。遠目に見るミシンはどれもみなこじんまりとして、半世紀前とはすっかり変わって見える。近づいてよく見たい衝動に駆られるが、いつもためらうばかりで果たせない。たまたま販売員の男と目があったりするとなおさらたじろいで知らんぷりで離れてしまう。だが欲しいのはがまんできない。インターネットでミシンの世界をさまよったあげく、ついにその名でシンガーの一台を買ってしまった。シンガー、歌い手、歌うような軽やかさで縫い進むイメージがミシンに最もふさわしいと思ったからである。命名のセンスにかねてから感心していたからである。というのはOpaの勝手な思いこみにすぎなかった。それが1856年に初めてミシンで特許をとったI・Mシンガー社の創業者、アイザック・メリット・シンガーの名であることをネットで知ったのは、買ってからのことであった。肝心のミシンはといえば、着古したワイシャツで試し縫いをしたあと、今は早くもピアノの下で休眠に入った。シンガーにふさわしい場所ではある。「ブティックOpa」開店はいつのことやら・・
by mizzo301
| 2009-09-11 16:43
| エッセイ
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